藤本 お疲れ様です。練習を拝見させていただき、ありがとうございました。やはり生で見るのとテレビとでは感動が違いますね。
織田 長時間見てくださってありがとうございます。それより寒くなかったですか。
藤本 大丈夫です。防寒着で来ましたから。それにしても立派なスケートリンクですね。
織田 関大にはぼくたちアイススケート部のほかにアイスホッケー部もあり、関西学生アイスホッケーリーグで優勝するほどの実力です。昨年できたばかりですが、素晴らしい設備で、とても恵まれています。
藤本 今やフィギュアスケート界をリードする織田さん、 橋大輔さん(文学部3年次生)がいるスケート部ですもんね。
織田 ずっと練習場として使用してきたリンクが3年前に閉鎖となり、練習場の確保が難しくなっていたんです。ぼくらにしたら幸い。多くの方々のおかげで、昨年7月に関西大学アイスアリーナができました。
藤本 織田さんだけでなく、ジュニアの皆さんも一緒に練習されるんですね。
織田 関大スケート部のコーチでもある母が、もともとジュニアのスケート教室をやっていまして、今日も合同の練習日でした。単独で滑る日もありますが、スケート部のメンバーや 橋さんとも一緒に滑りますよ。
藤本 先輩、後輩のお2人ですが、とても仲が良いんですって?
織田 ええ。勝負のときは真剣ですが、普段はとても仲が良い。 橋さんはぼくが持っていないものを持っているし、ぼくにはぼくのスケートもある。お互いに刺激し合っているところもありますね。
藤本 小さい子たちにしてみたら、夢が広がるし、すごく勉強になるでしょうね。
織田 刺激されるというか、教えてもらっているのはぼくのほうです。みんなうまいし、すごくがんばっていますからね。
藤本 初めてスケートリンクに立ったのは何歳のときですか。
織田 家の近くにリンクがあって、2歳のときから母に連れられて通っていましたから、保育園代わりでした。本格的に母に習うようになったのは5歳のときです。あるとき母がこう言ったんです。「ホッケーとスケートとどっちにする?」って。とっさにぼくは「スケート」と答えたんです。今思えば、母の作戦勝ちですね。
藤本 NOはなかったんですね。
織田 昔から母はめちゃめちゃ厳しくて、どつかれたことも何度もあります。怒られてはすねて、泣いて。小6から中2くらいまでの間に「もうやめよう!」と何度思ったことか。家出も常習犯でした。
藤本 家出って、どこまで行くんですか。
織田 自転車ですから、せいぜい隣町までです。途中でおなかが空いて、仕方なく家に帰って「ごめん」と言うんです。
藤本 そんなことがあっても、スケートを続けてこられたのはなぜですか。
織田 骨折して入院した時期が反抗期と重なり、「もうこれでやめよう」と。母にも反発ばかりしていました。それでも「絶対やめるな」と引き止めてくれたのは母です。
藤本 スケートが「面白い」と思えるようになったのはいつごろですか。
織田 初めて大会に出たのは7歳のときですが、そのときは成績はあまりよくなかったんです。中3で出場した全日本ジュニア選手権でまあまあの成績を出すことができ、そこから徐々に自信をつけて、国際大会にも出ることができるようになりました。選手たちにとって、全日本のジャケットは憧れなんです。自宅に送られてきたときは、うれしくて着て寝ましたよ(笑)。
藤本 世界の舞台はいかがでしたか。
織田 緊張はありましたが、ベルリンでの国際大会「ケンペン杯」で優勝することができたときに初めて、大会のためという目標が明確になり、「好成績を残そう」という気持ちが芽生えたんです。
藤本 日本代表という大役ですもんね。
織田 海外のいろんなところに行ってみたいという単純な気持ちもあり、自分の中に「がんばろう」という意欲が生まれました。スケートが楽しくなったのは、中3でトリプルジャンプをやるようになってからです。
藤本 先ほど目の前で演技を見せていただきましたが、ジャンプの高さといい、回転の速さといい、本当に素晴らしい! うっとりと見入ってしまいました。
織田 何度も転んでいたでしょ?
藤本 着地が決まったときは、「どうだー!?」というような自信に満ちた表情でしたが、転んだときはかなり痛そうでしたね。
織田 うまくいったときは快感ですが、転んだときは足だけじゃなくて、おなかにも意外とすごい衝撃があるんです。ねんざや打撲は当たり前。おしりもアザだらけです。
藤本 テレビで拝見していると、転んでもすぐに立ち上がって演技を続けていますが、大変なんですね。
織田 そのときは不思議と痛みを感じないものですが、あとから痛くなって…(笑)。
藤本 取材に際し、この1年間の織田さんをVTRで拝見したんですが、最近の成長ぶりは目覚ましいですね。安定したスケーティングだけでなく、少年から大人の男性へと変化していく様子に、ハッとさせられるところも…。先日テレビで織田さんを拝見していましたが、彼女がいると公言されていましたね。
織田 べつに隠すこともないな、と思って。
藤本 そんなところも潔いというか、爽やかで好感が持てる。応援したくなります。でも普段から練習が多いし、海外遠征などであまり会えないんじゃないですか。
織田 家が近いから毎日会えるんです。
藤本 青春しちゃってますね。
織田 スケートを応援してくれますし、ぼくがよくしゃべるので、「ふーんそうなんだ」と、彼女は話を聞いてくれる役です。