寺田 うちでは一人ひとりが「こうしてもらうとうれしい」を考え、実行するように言っています。礼儀やマナーは人間として当たり前のことです。社内に剣道部があって、地域の子どもたちに無料で教室を開いていますが、そこでは剣道というより、挨拶をはじめ、礼節の文化を学んでほしいと思っています。
藤本 当たり前の価値観が通用しなくなった今、それは、とても大切なことですね。
寺田 会社にもDNAがあるのだとつくづく思います。うちの場合、社内行事には社員が家族総出で参加。体育会系のノリでみんなでイベントを楽しめるというのも社風ですね。そして、ずっと言い続けているのが、夢の大切さです。私は「夢がない人は社員として認めない」と断言しているんです。
藤本 同感です。いまどきは「老後はのんびり暮らしたい」「人生がんばってもがんばらなくても同じ。夢なんてどうでもいい」なんていう若者がいるくらいですよ。
寺田 どんなに小さな夢でもいい。マラソンだって行き先なしには走れないし、目標がなければ達成の喜びもありません。会社にも共通する夢があって、それぞれのハードルをクリアしようという姿勢が大切です。
藤本 それさえあれば、仕事上のアイデアも次々に生まれてくるのでしょう。
寺田 外からは、新サービスはみんな私のアイデアのように見えるのかもしれませんが、ほとんどは現場からの提案です。毎日引越しに携わっていればこその発想です。
藤本 たとえばどんな提案ですか。
寺田 早朝に行う引越しで、台車の音が気になるという現場の声から生まれた「サイレント台車」。雨天時の引越しで、お客様のご家財を雨から守る「雨ぼうし」などがあります。
藤本 引越しで環境も心境も一新。人生の転機であり、引越し自体がドラマですから現場の責任も重大ですね。
寺田 たとえば「帰るコール」というシステムがありますが、作業が終了した時点で、現場のスタッフが各支店の業務担当に電話を入れ、お客様に電話を代わり、直接終了の確認をさせていただきます。また「CSカード」という顧客の満足度を確認するシステムがあって、52%の方に返信をいただいていますが、そのうち90%の方が「満足している」と答えてくださっています。
藤本 利用者は社員の見分けがつきませんから、現場のサービスを徹底させるには、アルバイトも含め細心の注意が必要ですね。
寺田 従業員には「社章を付けたら、あなたが会社の顔よ」と言っています。信用やイメージを壊すのは一瞬ですが、信頼を築き上げるのは、どれほど大変かと。
藤本 社会的な信用は1年、2年ではつくれませんからね。ところで最近話題になっている、育児支援についてはいかがですか。
寺田 少子化は大きなテーマですね。社員には子どもの授業参観に参加するよう促し、1人目は5万円、2人目は10万円、3人目は20万円という出産祝金も支給しています。お金があるから産むわけではないにしろ、産んだら確実にお金がかかるんです。
藤本 女性スタッフも多いのですか。
寺田 女性スタッフだけで行う「レディースパック」サービスや、働く女性を支援する保育園「パンプキン・ガーデン」など、女性の活躍の場もどんどん増えています。
藤本 保育事業を始めたのはいつからですか。また何がきっかけだったのですか。