スペシャル対談 藤本裕子が各界トップに迫る!

スペシャル対談 藤本裕子が各界トップに迫る!

引越し業界から生活提案企業へ アートコーポレーション株式会社代表取締役社長の寺田千代乃さん

「0123」でおなじみ、アートコーポレーション株式会社代表取締役社長の寺田千代乃さん。結婚と同時に夫と始めた運送会社から1977年に独立。引越しをサービス業としてとらえ、日本初の引越し専門会社として次々と新サービスを生み出し、精力的に事業を拡大。運送業をサービス業へと進化させ、生活提案を行う、時代のリーディングカンパニーの代表として、また関西経済界を担う女性リーダーとして大活躍。明るくパワフルな半生は、藤原紀香さん主演でテレビドラマ化されたほどドラマチック。さらなる夢を伺った。

 

アートコーポレーション株式会社代表取締役社長 寺田千代乃さん
1947年生まれ。大阪市立今宮中学校卒業。1968年結婚と同時に夫と運送業を始め、アート引越センターの母体である寺田運輸株式会社の経営に参画。1977年「アート引越センター株式会社」を設立し、代表取締役社長に就任。1990年には社名を「アートコーポレーション株式会社」に変更。現在は国内87店舗、世界7か所に拠点を置く。引越しサービス事業を核に「暮らし方を提案する企業グループ」として事業展開を加速中。2005年には保育園「パンプキン・ガーデン」を大阪市に開園。働く女性をサポートするとともに、子どもの個性を育てる保育を目指している。社団法人関西経済同友会前代表幹事。社団法人関西経済連合会副会長等要職を兼務。

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母と二人三脚で息子に持たせたお弁当

藤本 早速ですが、今のお仕事を始められて何年になりますか。

寺田結婚のときに夫が勤めていた運送会社から独立をすすめられ、寺田運輸株式会社を設立したのが31年前。引越部門を独立させ「アート引越センター株式会社」の代表に就任したのは、30年も前のことです。

藤本 以来、主婦のアイデアを生かして業績を上げ、ここまでの会社にされたというサクセスストーリーは、とても有名ですね。寺田千代乃さんとの対談写真 その1

寺田 引越しは昔からある既存のジャンルです。古い運輸業界にあって、私は最初からサービス業として引越しをとらえていました。結果としてひとつの産業分野を創造してきたといえますが、一口に「主婦のアイデア」といわれると、ちょっと違うかなという気がします。女性とか主婦とかは、あまり関係ありません。男性でも集中力を持ち、相手のことを考えれば、アイデアは出てきます。要は、口で言うのは簡単。実行に移すのが難しいのです。

藤本 2人のお子さんを育てながらですから、それは大変だったでしょうね。

寺田 夫が運転するトラックの助手席に乗るのは日常でした。子どもたちを助手席に乗せ、私がハンドルを握ったこともありますが、それを大変と思ったことはありません。むしろ、やって当たり前の環境でした。

藤本 お母さんが忙しくなさっていて、お子さんたちはいかがでしたか。

寺田 息子たちにしてみれば、生まれてからずっとこの環境でしたので、お母さんは忙しいのが普通と思っていたようです(笑)。しかし、当時「鍵っ子」という言葉があって、私自身がそれには抵抗がありました。「とにかく、息子にお弁当だけは持たせたい」という思いから、私の母の力も借り、週の前半は私、後半は母と役割を決め、はずせない仕事は後半に集中させるなどやりくりをしてお弁当を持たせたものです。

藤本 子育てと仕事の両立は永遠のテーマですね。

寺田 決して十分ではなかったと思います。次男が中学生のとき一度だけこんなことがありました。家族でいて夫と私がいつものように会社の話になってしまったんです。すると次男が「いい加減にしろよ!」とかつてない形相で怒りだしたんです。無理もありません。無我夢中で働いていたときは、母であることを忘れていました。子どものことなんて頭にも出てこないんです。

藤本 私も娘が3人いて、いつも「仕事のことばかり…」と言われていました。

寺田 そうでしょ。マスコミのおかげでバラ色の成功物語になっていますが、実際は美しくもなく、大志があったわけでもありません。前を向いてやってきただけで、仕事も子育ても大変ではなかったですね。むしろ、曲がりなりにも組織が組織らしくなっていくと、会社の成長と人の成長が必ずしも伴わないという悩みが出てきました。

藤本 現在、従業員数はどのくらいですか。

寺田 グループ全体で約1700人です。寺田千代乃さんとの対談写真 その2

藤本 それだけの皆さんに、トップの理念をどう伝えていかれるのですか。

寺田 地域ごとにブロックを組織しており、ブロック長を筆頭に研修を行うなどしています。私も1000人を超すまでは各支店を回り、幹部や役員と終業後に食事をしながら思いを話すなどし、各支店長には「話は必ず支店の部下たちに話してあげてください」と言ってきました。今はインターネット環境も進み、社員の気持ちを吸い上げる社内システムもつくられています。反対に、役員やトップが現場を知ることもとても大切だと考えています。

藤本 仕事でいろんな企業におじゃましますが、訪問や電話の応対ひとつ、また会社に入った瞬間の空気で、その企業のカラーというか、雰囲気を感じます。今日は、とてもあたたかく迎え入れていただきまして、うれしかったんですけれども。

夢がない人は社員として認めない

寺田 うちでは一人ひとりが「こうしてもらうとうれしい」を考え、実行するように言っています。礼儀やマナーは人間として当たり前のことです。社内に剣道部があって、地域の子どもたちに無料で教室を開いていますが、そこでは剣道というより、挨拶をはじめ、礼節の文化を学んでほしいと思っています。 

藤本 当たり前の価値観が通用しなくなった今、それは、とても大切なことですね。

寺田 会社にもDNAがあるのだとつくづく思います。うちの場合、社内行事には社員が家族総出で参加。体育会系のノリでみんなでイベントを楽しめるというのも社風ですね。そして、ずっと言い続けているのが、夢の大切さです。私は「夢がない人は社員として認めない」と断言しているんです。

藤本 同感です。いまどきは「老後はのんびり暮らしたい」「人生がんばってもがんばらなくても同じ。夢なんてどうでもいい」なんていう若者がいるくらいですよ。

寺田 どんなに小さな夢でもいい。マラソンだって行き先なしには走れないし、目標がなければ達成の喜びもありません。会社にも共通する夢があって、それぞれのハードルをクリアしようという姿勢が大切です。

藤本 それさえあれば、仕事上のアイデアも次々に生まれてくるのでしょう。

寺田 外からは、新サービスはみんな私のアイデアのように見えるのかもしれませんが、ほとんどは現場からの提案です。毎日引越しに携わっていればこその発想です。

藤本 たとえばどんな提案ですか。

寺田 早朝に行う引越しで、台車の音が気になるという現場の声から生まれた「サイレント台車」。雨天時の引越しで、お客様のご家財を雨から守る「雨ぼうし」などがあります。寺田千代乃さんとの対談写真 その3

藤本 引越しで環境も心境も一新。人生の転機であり、引越し自体がドラマですから現場の責任も重大ですね。

寺田 たとえば「帰るコール」というシステムがありますが、作業が終了した時点で、現場のスタッフが各支店の業務担当に電話を入れ、お客様に電話を代わり、直接終了の確認をさせていただきます。また「CSカード」という顧客の満足度を確認するシステムがあって、52%の方に返信をいただいていますが、そのうち90%の方が「満足している」と答えてくださっています。

藤本 利用者は社員の見分けがつきませんから、現場のサービスを徹底させるには、アルバイトも含め細心の注意が必要ですね。

寺田 従業員には「社章を付けたら、あなたが会社の顔よ」と言っています。信用やイメージを壊すのは一瞬ですが、信頼を築き上げるのは、どれほど大変かと。 

藤本 社会的な信用は1年、2年ではつくれませんからね。ところで最近話題になっている、育児支援についてはいかがですか。

寺田 少子化は大きなテーマですね。社員には子どもの授業参観に参加するよう促し、1人目は5万円、2人目は10万円、3人目は20万円という出産祝金も支給しています。お金があるから産むわけではないにしろ、産んだら確実にお金がかかるんです。 

藤本 女性スタッフも多いのですか。

寺田 女性スタッフだけで行う「レディースパック」サービスや、働く女性を支援する保育園「パンプキン・ガーデン」など、女性の活躍の場もどんどん増えています。

藤本 保育事業を始めたのはいつからですか。また何がきっかけだったのですか。

暮らしのサービスを売る仕事

寺田 アートは、引越しを売るのではなく、暮らしのサービスを売る仕事です。介護や介助の延長で登場したのが、「保育」というテーマでした。働く女性にとって必要なのは、配偶者の理解と協力、地域のバックアップ、そして保育サービス。また、お金よりも精神的なゆとりが一番というのは、身をもって感じていたことです。

藤本 今後は全国に保育園を増やしていかれるのですか。寺田千代乃さんとの対談写真 その3

寺田 「パンプキン・ガーデン」は安全と清潔に気配りをしつつ、きちっとした子育てを行っています。質を維持していくには預かるだけではダメですし、礼儀やルールを守れる子どもを育んでいきたいと思っています。子育てが大変というお母さんたちの負担を、少しでも軽くできたらと思います。

藤本 ネガティブな部分がクローズアップされ、お母さんたちも被害者意識になりがちです。確かに私も、自分の子育てのときはいっぱいいっぱいで。孫を持ってやっと、子どもの素晴らしさを実感しています。

寺田 私にも3歳と1歳の孫がいますが、「子どもは5歳までに親孝行をする」って本当です。孫を見て「息子のときはどうだったかな?」と考えても、思い出せないんです。

藤本 必死でやってこられたのですね。今、息子さんたちが一緒に会社にいらっしゃるというのが、何より成功を物語っています。きっとご両親が一生懸命に働く姿を感じてこられたのでしょうね。ところで寺田さんは、関西経済界の顔としてもご活躍ですね。

関西圏で連携して発信していく

寺田 一昨年までは関西経済同友会の代表幹事をさせていただき、現在は、関西経済連合会の副会長をさせていただいています。

藤本 関西経済同友会初の女性代表幹事誕生!と、話題になりましたね。

寺田 「女性だからやりにくかった」ということは全くなく、むしろ固定概念もなく入ったので、たくさんの方に助けられながら無事に任期を終えることができました。

藤本 では、関西経済界の今後について教えてください。

寺田 起業家精神はもとより、観光や歴史、また文楽や歌舞伎などの文化にしても、伝統に革新を加えて発信していくのが関西の特徴です。バラバラに存在するそれらをまとめ上げ、世界、とくにアジアに向けて経済界として発信していくことが重要だと思います。関西らしさを大事にし、京都・神戸・奈良と、いい意味の連携も必要です。それぞれが地域の個性を持ち寄り、足し算ではなく、かけ算をして地域運営をしていく時代です。

藤本 私が思う関西のよさは、やはり「人」ではないでしょうか。たとえばタクシーや飲食店を利用しても、東京で気持ちのいいサービスを受けることは滅多にないんです。その点関西の人はサービス業に徹しています。商いとは儲けることではなく、相手をどう喜ばせるかということ。お笑いにしても、相手を思いやるやさしさや情が根本にあるのではないでしょうか。

寺田 私も生まれは神戸ですが、「やってみなはれ」に象徴されるように、よくいえば、きさくで親切。悪くいえば、おせっかいというやつです(笑)。 

藤本 他人に無関心な世の中ですから、とても大事なことだと思います。さて、今日まで休まず走り続けてこられた寺田さんですが、この先の夢を伺わせてください。

寺田 常に「お客様が喜ばれることを、先をいくサービスを」と、歩んできました。今後も「引越し」を中心に、皆さんに喜んでいただけるような、その周りの暮らしを提案する企業グループをつくっていきたいですね。景気は少しずつよくなっていますが、地域には問題が山積しています。高齢者の単身世帯のほか母子家庭や父子家庭も増えています。地域の方々のために、役立つことを考えていきたいですね。 

藤本 2007年問題はいかがですか。

寺田 60歳なんてまだまだです。働ける人はもっと働いたほうがいいですね。それから自分の楽しみ方を知っている元気な方々のお手伝いなど、すべての生活者に対してトータル的な支援をしていきたいですね。60歳なんてまだまだです。働ける人はもっと働いたほうがいいですね。それから自分の楽しみ方を知っている元気な方々のお手伝いなど、すべての生活者に対してトータル的な支援をしていきたいですね。寺田千代乃さんとの対談写真 その4

藤本 最後になりますが、実は、今日のために寺田さんに関する本や資料をたくさん読ませていただいたんです。でも意外なことに、私が知りたかったことがどこにも書かれていなかった。簡単な質問ですが、引越しの専門家というよりは、主婦の視点で、引越しのポイントを3つ教えてください。

寺田 本当! 新鮮な質問ですね。改めて3つといわれると…。まずは、引越しは整理のチャンスなので、荷物はどんどん処分してください。そして新居に行かれたら、どの部屋を大事にするかを決定してください。最後は、事前に専門業者ときちんとした契約を結んでおくことです。

藤本 引越し魔の私としては、次回の引越しに、早速アドバイスを生かしていきたいと思います。今日は素晴らしいお話を伺わせていただき、ありがとうございました。今後、ますますのご活躍を期待しています。

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