スペシャル対談 藤本裕子が各界トップに迫る!

スペシャル対談 藤本裕子が各界トップに迫る!

よりアクティブに、今季も優勝を狙います! 大阪エヴェッサ ヘッドコーチ 天日謙作さん

日本初のプロバスケットボールリーグ・bjリーグの初代チャンピオンに輝いた「大阪エヴェッサ」。自ら最優秀コーチ賞を獲得するなど、その手腕は実績も評価も高く、選手やファンの信頼や期待も熱い天日謙作ヘッドコーチ。今季優勝を目指し、連日練習に励む中、7月6日、「エヴェッサキャラバン」として行われた、精華高等学校(堺市)スポーツ健康コースの生徒たちとの交流イベントに参加。次世代に伝えたいこと、チームや選手の今後について伺った。

 

大阪エヴェッサ ヘッドコーチ 天日謙作さん
ひらの ようこ  1966年羽曳野市出身。羽曳野市立峰塚中学校、大阪府立羽曳野高等学校、日本体育大学と、バスケットボール部で活躍。松下電器産業株式会社選手時代は、日本バスケットボールリーグ優勝を2回、天皇杯優勝を2回。1992年には日本代表としてジョーンズ杯に出場するなど輝かしい経歴。その後JBLスーパーリーグ松下電器産業バスケットボール部アシスタントコーチを経て、同部ヘッドコーチとして活躍。2005年日本初のプロバスケットボールリーグ・bjリーグ発足に伴い、「大阪エヴェッサ」ヘッドコーチに就任。チームを初代チャンピオンに導き、自らは最優秀コーチ賞を受賞。プライベートでは2児の父。http://www.evessa.com

勝ち負けよりも楽しさを伝えたい

藤本 先ほどは「エヴェッサキャラバン」を見学させていただき、ありがとうございました。そもそもこの企画がどういうものなのか、教えていただけますか。 

天日謙作さん 対談写真 その1

天日 大阪エヴェッサによるホームタウン活動の一環で、選手・スタッフが中学・高校を訪問し、キャリア教育やバスケットボール指導を通じたふれあいを行う活動を実施しています。今回は、大阪府の「芸術・スポーツ体感〜感動の伝道師〜事業」のひとつとして実施。子どもたちにバスケットボールの魅力を伝えることで、「夢」や「生き方」を考えるきっかけにしてもらおう、というのが狙いです。

藤本 精華高校(寺西淳校長)での授業は2回目だそうですね。

天日 先日は、子どもたちの前でしゃべりました。

藤本 講義もあったのですか。今日のような実技とは、子どもたちの反応もまた違うものだったでしょうね。

天日 ええ。ぼくひとりの話と、今日のように選手たちを交えて実際にプレーを見せるのとは、明らかに違いますね。180度違った表情を見せる子どももいましたよ。

藤本 やはり、プロのプレーは、圧倒するものがあるのでしょうね。

天日 たとえば波多野和也選手のプレーを見たら、みんな「かっこいい」と思うだろうし、講義よりも体を動かすほうが、それは楽しいのかもしれません。

藤本 でも両方があってこそ、子どもたちの理解を深めるのだと思いますよ。講義ではどんなお話をされたのですか。

天日 「挫折」や「モチベーション」についてなど、いくつかのテーマにしたがって、ぼく自身の経験を話しました。

藤本 天日さんにも挫折があったんですか。

天日 それが、実はぼくには挫折の経験がなくて…。だから「挫折したことがない」という話をしたんです。一般的には、計画して失敗することや、それによって気力を失くすことを挫折といいますが、ぼくにとっては、常に「勝つこと」が目的ではなく、「上手くなる」ことが目的でしたから、負けても挫折したことにはならないんです。

藤本 結果ではなく、過程を大切にするということですか。

天日 結果を重視する「勝利至上主義」という言葉もありますが、ぼくはそうは思いません。誰でも上手くなっていくときが一番楽しいわけで、昨日より今日の成長をわかっているのは、自分なんだと思います。

藤本 子どもたちは、そういう話をどんな風に聞いているんですか。 

天日 「なんやこの人、ほかの人と違うこと言うてんな」って感じでしたね。社会では、とくにスポーツの世界では「勝たなあかん」と繰り返し言われているわけですから。でも野球の野村克也監督も、「結果だけを求めてはダメ」と言っていましたよ。

藤本 「プロなんだから、勝たなければダメ」という人も多いですね。

天日 ぼくは違うと思うんです。プロも小学生も同じ。楽しくなければスポーツではないし、それを自分たちが実践しないで、子どもたちに伝わるわけがありません。天日謙作さん 対談写真 その2

藤本 人にいわれてバスケットボールをするわけではなくて、「自分が何を目指し、どうしたいか」なのでしょうね。

天日 まさにそうです。自分のダメな部分、がんばった部分を知っているのは、自分であり、それをすることで結果がついてくる。大事なのは、ゲームの結果や人の評価ではないと、高校生に話しました。

藤本 素晴らしい教えですね。その言葉を勇気や励みにして、がんばる子どもが出てくると思いますよ。ところで天日さん自身のお話を伺いたいのですが、バスケットボールを始められたきっかけは何ですか。 

天日 中学校に入ったころ、少し背が高かったせいか、顧問の先生に呼ばれて「バスケット部に入らないか」と誘われました。

藤本 直接先生に声をかけられるなんて、うれしいですね。

天日 気をよくして入ってみたら、顧問の先生が尊敬できる方で、真っ先に先生のことを好きになりました。それからバスケットボールというスポーツの面白さを知って、めちゃめちゃ好きになりましたね。

藤本 先ほどの練習風景でも、本当に楽しそうでしたもんね。

天日 いやあ、そうでしたか。

藤本 練習が終わって「お疲れ様」と言ったあとも、ずっと選手に実技指導をされていましたね。ちょっと驚きでした。

天日 いつものことですが、思いついたら行動せずにいられないんですよね。でも驚いたというのは、「コーチは、座って腕組みして見てるもんだ」なんて、イメージされていたんじゃないですか。

藤本 コーチが何人もいらっしゃるので、天日さんはてっきり椅子の上の方かと(笑)。

天日 日本の師弟関係のイメージでは、監督だったらそうかもしれませんが、欧米スポーツの世界では、それはあり得ません。選手とコーチは常にパートナーシップ。自分から立って動かないと絶対にダメですね。

藤本 体力も必要ですし、大変ですね。

天日 そこが面白いところです。

好きなことを仕事にする喜び

藤本 欧米スポーツという話が出ましたが、日本にプロバスケットボールができたのは、昨年だそうですね。
天日 日本のバスケットボール愛好者は、500万人。サッカー部や野球部がない学校はあっても、バスケットボール部がない学校はないくらい、人気のスポーツです。それでも社会人チームがなかなかプロ化できない現状がありましたが、昨年ようやく、新潟アルビレックスBB、埼玉ブロンコスなど5チームとともに「日本のバスケットボール界を盛り上げたい」と、大阪エヴェッサもbjリーグに参戦したのです。

藤本 世界を目指すナショナルチームづくりに期待がかかり、スポーツエンタテインメントとしても注目される中、初代チャンピオンの栄誉は素晴らしいことですね。大阪の人たちも大喜びだと思いますが、コーチとしてこれまでを振り返ってどうですか。

天日 チームの立ち上げに関わり、練習に使う体育館探しから、選手集め、そしてチームづくりまで、「とにかく、めちゃめちゃ長かった」というのが実感でしょうか。「大変でしたね」とよく言われますが、ぼくとしては、大変と思ったことは一度もありません。むしろ楽しいことばかりですね。天日謙作さん 対談写真 その3

藤本 頼もしいお言葉ですね。

天日 好きなことを仕事にしたら、それは「仕事」ではなくなります。選手をどう動かすか、一人ひとりの特質を見て指導する、こんなに面白い仕事はありません。幸い、たくさんの方の応援もあって、優勝することができましたが、ぼくらにとっては単なる通過点。ゴールはまだまだ先にあります。もしかしたら、本当の苦労や試練は、これから出てくるのかもしれません。

藤本 先ほど、選手と一緒になって体を動かすというお話が出ましたが、天日メソッド(教育法)の特徴はどんなところですか。

天日 「コーチ」とは、戦術を練る人ではなく、また選手の欠点を指摘するのでもなく、選手の長所をいかに引き出し、それをチームにどう生かすかを考え、一緒に動いて体感する。最終的には、それを結果に結びつけること。これに尽きると思うんです。

藤本 練習内容も、すべて天日さんが考えられるのですか。

天日 必ず前日に練習メニューを書いて、自分自身で確認します。「何のための練習で、どこにポイントがあるか」なども整理しておかないと、体育館で忘れちゃうんですよ。ただ3時間、4時間しんどいだけでは、意味がないでしょう。

普段通りの姿から感じてほしい

藤本 今日は高校生に見せるために、特別な練習やゲームを組まれたのですか。

天日 いえいえ、全くいつも通りなんです。ぼくは「今日はこの体育館で練習をする」くらいの意識でやっていただけ。子どもたちには、普段通りを見せたかった。「プロもこんな基礎練習をやっているんだ」「プロの選手もしんどいんやな」と感じてもらうことに、意味があると思っています。天日謙作さん 対談写真 その4

藤本 一人ひとりに細かくアドバイスをされていましたね。

天日 チームづくりにおいては、「分業」が大事だと思っています。大きくてリバウンドが取れる選手は、それだけを徹底してやってくれればいいという考えです。分業することでいろんな選手がプレーできるし、それぞれの仕事が明確になり、その効果が高まれば、チームとしての共通目的は果たせます。

藤本 そういった個性を見極めて、選手の選択をされるのですか。

天日 今あるシステムの中で、現実の活躍の場をイメージしながら採用していけたらと思っています。外国人選手も含めて、コートでプレーする5人の枠を競っていくわけですから、かなりシビアです。

藤本 選手の皆さんはどれくらい練習をするんですか。

天日 朝7時に起きて、午前中はウエートトレーニング。午後からはボールトレーニングをして、あとは個人練習です。

藤本 めいっぱいなんですね。遊びたい年頃なのに、夜遊びもできませんね(笑)。

天日 ハハハ。ぼくも選手時代はそうでしたけど、今ごろ「もっと練習できたよな」って思うんです。しんどいことを押しつけるのではなく、ひとつのことに打ち込める環境をつくってあげているんです。それがどれほど彼らのためになるか…。

藤本 チーム全体として、「大阪エヴェッサらしさ」って何ですか。

天日 しいていえば「アクティブ」という表現になるでしょうか。リバウンドを取ったらすぐに走る。ディフェンスも手だけではなく、足や体全体を動かすこと。ダラダラしたゲームではなく、ガーッと動くチームなんで、スピードと流れが昨年の勝因になったのだと思います。それから今日、子どもたちにも伝えたのですが、ゲームでは常にシュートを狙っていくこと。とにかくシュート、シュートで、いっぱい得点シーンをつくりたい。そのあたりが「エヴェッサらしさ」として見せられたらいいですね。

学校は、好きなものと出会う場所

藤本 今シーズンのチーム目標を含めて、天日さんの夢を教えていただけますか。

天日 プロのコーチや選手として、選手ともども、限りなく自分の器を大きくしていかないといけませんね。もちろん今シーズンも優勝を狙いますが、「大阪エヴェッサ」としては、地域振興や次世代育成も視野に入れて、やっていきたいと思っています。今日のような機会に、子どもたちが「一生懸命やることがかっこよくて楽しいことなんだ」と感じたり、エヴェッサのユニホームに憧れる子どもが増えたらうれしいですね。

藤本 「一生懸命」が否定されてしまいがちな世の中ですから、ぜひ子どもたちに、「本気」の素晴らしさを見せてあげてほしいですね。

天日 バスケットボールだけじゃなく、ギターでも算数でも、何にでも可能性を見出せるはず。選手たちには、それを子どもたちに伝える役割があると思うんです。

藤本 選手の皆さんも大変ですね。

天日 大変なことにこそ、面白さややりがいがあるんです。ぼくもそれなりに一生懸命やってきましたが、振り返ったら、まだまだ全然足りなかったことに気づきます。もっと練習して、もっと上手くなって、もっと広い世界を目指すことができる彼ら。そのチャンスを広げるために、ぼくは彼らに何を与えられるかですね。

藤本 コーチとしての目標は。

天日 尊敬するアメリカのポール・ウエストヘッドコーチのようになりたいですね。選手に限界を求めるコーチとして有名ですが、選手の長所を伸ばすために研究し、さまざまなアイデアを次々実践しています。昨シーズンの経験を生かし、選手を育て、よりアクティブなチームをつくること。試合を見た人たちが、楽しさや面白さを体感できるような試合をつくれたらと思います。天日謙作さん 対談写真 その5

藤本 最後に、子どもたちにメッセージをお願いします。

天日 幸運にも、ぼくは中1でバスケットボールに出会いました。でも多くの子どもたちは、右往左往していると思うんです。教科学習やクラブ活動、仲間や先生との交流など、学生時代は、学校でさまざまな体験ができます。その中で自分の好きなものを見つけていけばいいんだと思います。

藤本 好きなこと、得意なことが見つかれば、自信もつきますね。

天日 好きになったら大変なことも大変じゃなくなるし、勉強もスポーツも、上手くなっていく過程の面白さを知ったら、いろんなことに挑戦してみたくなる。永遠に「何も見つからない」では困るけど、大学生や社会人でも、やってみてダメならまた違うものを探していけばいいと思います。

藤本 親としては、焦らず、見守っていく姿勢が大切なのかもしれませんね。今日は貴重な練習風景を拝見すると同時に、今季に向けての力強い発言もいただいて、ますますこれからが楽しみになりました。子どもたちのためにも、ぜひがんばってください。どうもありがとうございました。

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