スペシャル対談 藤本裕子が各界トップに迫る!

スペシャル対談 藤本裕子が各界トップに迫る!

遊びの感動体験の中で、成長する子どもたち  研究家  岩城敏之さん

絵本と木のおもちゃ専門店のオーナーでありながら、おもちゃを売ることより、子どもとおもちゃで遊んだり、絵本を読んだりするのが好きという岩城敏之さんは、「いわきのおっちゃん」の愛称で子どもたちから親しまれている。一冊の絵本との出会い、こだわり続ける木のおもちゃのこと。そして、子育てのヒントを伺った。

 

子どもの遊びと玩具研究家 岩城敏之さん
いわき としゆき  1956年京都府生まれ。同志社大学経済学部卒業。1987年絵本とヨーロッパの玩具の店「ぱふ」を開業。1989年より6年間マッキー総合学園・日本こども文化専門学院講師。現在は、KID’Sいわき・ぱふ代表であり、日本おもちゃ会議会員、日本こどもの発達研究所講師など要職を兼務する傍ら、子どもの遊びの環境や玩具・絵本について、幼稚園等の教職員研修、保護者たちへの講演会講師として活躍中。家族は妻と2男、1女。絵本『メチャクサ』(アスラン書房)をはじめ、『幼児のおもちゃガイド』『赤ちゃんのおもちゃガイド』『子育てのコツ』『続・子育てのコツ』(三学出版)など著書多数。『かしこいおもちゃの与え方』が三学出版より近日発行予定。

http://web.kyoto-inet.or.jp/people/kidspuff

人生を変えた一冊の絵本との出会い

藤本 店内を案内していただきましたが、広くて充実した品ぞろえですね。一つひとつ見ていたら、一日かかってしまいそうです。

岩城 絵本と木のおもちゃ専門店としては日本最大級だと思います。どんどんいい絵本やおもちゃに出会うので、お店に置きたくなる。それに、昔からある「いい絵本」「いいおもちゃ」もはずせないから、品物が無限に増えてしまうんです。お客様には読んで遊んでもらって、気に入ったものを納得して買ってもらいたいので、遊びや読書のスペースも設けています。

藤本 これだけ商品があると、お客さんも何を買っていいか迷ってしまうでしょうね。

岩城 私は「感動の押し売り」と言っていますが、お客様には、スタッフが自分の好きなものについてお話するのが一番だと思っています。 岩城敏之さんとの対談写真 その1

藤本 マニュアルではなく、実際に感動している方の言葉は説得力が違います。岩城さんは、普段はどちらのお店にいらっしゃるんですか。

岩城 おもちゃ屋の主人といっても、週に5日は車に絵本や積み木、ゲームなどを詰め込んで、あちこちの幼稚園や学校に講演会や研修に出向いています。いってみれば「行商」ですよ(笑)。話をする前には、必ず子どもやお母さんたちと一緒に遊ぶんです。30分も遊ぶと、皆さん楽しさが実感できます。

藤本 先ほどゲームで遊ばせていただきましたが、とても楽しかったです。木のおもちゃも見せていただきましたが、手の感触といい、匂いといい、何とも言えない幸福感を感じましたね。

岩城 大人が楽しいと思えるゲームの箱を見ると、「対象年齢4歳」なんて書いてある。それだけ応用して遊ぶことができる、すぐれたおもちゃなんです。それに木のおもちゃは、人間の本能を充足させるものがある。どれも大事に使えば何十年と持つ、いいおもちゃばかりです。

藤本 そもそも岩城さんが、このようなおもちゃ屋さんを始められたのはいつですか。

岩城 もともと父がおもちゃ屋をしていて、私が専門店にしたんです。長男が家業を継ぐのは当然の時代。絵本と木のおもちゃにこだわったところが、私のポリシーです。

藤本 それはなぜですか。

岩城 子どもが好きで、学生のころは子どもたちを集めてキャンプをしたりしていました。そのとき偶然知り合った女の子が、絵本が大好きだったんです。「18歳にもなってなんで?」と最初は思いましたが、その子のことが知りたくて、図書館で片っ端から絵本を借りてきたんです。そしたら面白くて、あっという間に全部の絵本を読み切りました。動機は不純だったけど、おかげで絵本のスペシャリストになりました。

藤本 絵本のどこが面白かったのですか。

岩城 絵本は、子どものことを本気で愛している大人が、一生懸命心を込めてつくっていることがわかったんです。きっかけになったのは、レオ・レオニの『フレデリック』(好学社)という、一冊の絵本との出会いでした。

藤本 どんなお話ですか。

岩城 「ちょっと かわった のねずみ」フレデリックのお話です。 冬に備えてせっせと食糧を集めて働く野ネズミたちの横で、じっとして動かないフレデリック。「寒くて暗い冬の日のために『おひさまのひかり』を、灰色の冬のために『いろ』を、長い冬の間に話が尽きないように『ことば』を集めているんだ」とフレデリック。やがて冬が来て食糧は尽きたが、フレデリックが集めておいたものは尽きることなく、みんなに楽しい時をもたらしてくれる…という話。驚いたのは、豊かな想像力。それぞれに役目があるということなど、生きていく上で大切なことがユーモアたっぷり、話の中にちりばめられているんです。

藤本 アリとキリギリスの逆バージョンですね。

岩城 「働くこと」の反対が「遊ぶこと」という常識が覆されてしまったのです。高度成長期、私はいち早く新しいおもちゃを手にし、電池を入れてひとしきり遊び、そしてまた電池を抜いて箱に戻すというような毎日を過ごしていましたが、父親が言うわけです。「遊んでばかりいたら、アホになるぞ!」。そして一方では「子どもは遊んで育つんだ」という大人もいる。つまり、ものがあふれている社会の中で、「本当に必要なものって何だろう?」「豊かさって何だろう?」という疑問に直面していた私に、人が人らしく生きることの素晴らしさを教えてくれたのです。

藤本 疑問を持つこと自体がすごいことだと思いますが、素晴らしい発見ですね。

子どもだって「幸せに生きたい」

岩城 赤ちゃんはお鍋をひっくり返すのが楽しいし、2歳の子どもはくるくる回ったり、跳んだりはねたりするのが楽しい。大人にとっては考えられないようなことを、子どもは楽しんでやっている。楽しいとか、面白いとかの対象は違うけれど、「楽しく幸せに生きたい」と願っている気持ちは変わらないんです。

藤本 1歳になったばかりの孫が1人いますが、その子を見ていると、本当に毎日、毎分、毎秒、何かを発見して感動して、少しずつ賢くなっていってるのがわかるんです。 岩城敏之さんとの対談写真 その2

岩城 藤本さんは私と同じ歳で、お孫さんがいらっしゃるの? 本当に、子どもの毎日ってすごいでしょ。赤ちゃんにしたら、すべてが初めての世界。世の中は刺激と感動の連続です。何もわからないところから、いろいろなことに興味を持って挑戦し、名前もルールも学んでいく。毎日がノーベル賞ものの発見をし、オリンピックものの記録に挑戦し続けているわけです。

藤本 だから私も、その姿を見ているだけで 一緒に感動できちゃう。娘が3人いますが、自分の子育てのときは、全く気がつかなかった。散らかしたり汚したり、壊したりする子どもに向かって、「なんでそんなことばっかりするの!?」と、目を釣り上げてばかりいました(笑)。

岩城 子どもと感動を共有すること。忙しくても手を休めて、子どもの発見や成長を一緒に驚いたり喜んだり。「へえ、そうなんだ。すごいね」と、感動話を聞いてあげることが大事なんです。

藤本 それがなかなかできないんです。時間というよりは、心にゆとりがないのでしょう。 

「大丈夫」という魔法の言葉

岩城 2歳、3歳になれば、他者との交わりもあるし、好奇心からさまざまなことに挑戦したがります。ですからトラブルが起こる。そんなとき、親がどう対応するかがポイントなんです。

藤本 お手伝いをしたがるのに、失敗ばかり。子ども相手に、つい大声で叱ってしまいます。

岩城 子どもが食事中にジュースをこぼしたとき、さあ、どうしますか。

藤本 「何やってんの! だから、気をつけなさいって言ったでしょ!」。

岩城 ハハハ。そんなときの「魔法の言葉」があるんです。「大丈夫よ」と、まずはそう言って落ち着かせてあげる。同時にそれは、お母さん自身にも言い聞かせるのです。

藤本 「大丈夫」で、どれだけ子どもは救われるでしょう。母親が落ち着くことも大事ですね。

岩城 子どもはトラブルを糧にして成長していくものです。人間関係に失敗したときや思い通りにいかないとき、つまり、元気じゃないときに子どもはお母さんの所に来るんです。元気と落ち込みの繰り返し。この2つの周期を理解して、うまく子どもとつきあってほしいですね。

藤本 当たり前のことですが、私も含めて意外に気づいていない人が多いと思います。

岩城 虐待問題もそうです。子どもは拒絶されても、命がけで母親にひっついていくんです。どんなにダメ親でも、虐待されても、それでも子どもはお母さんが好き。それが、悲惨な結果につながることもあるんです。

藤本 母親は絶対の存在なんですね。

岩城 生まれたときから、存在を認知されているんですよ。考えたらすごいことでしょ。

藤本 母親も、子どもが生まれてきてくれたことに感謝して、ともに成長していかなくてはいけませんね。

岩城 完璧な親である必要はないのだから、できるだけゆとりを持って子育てをしてほしいですね。覚えていてほしいのは、子どもは「被害届」しか出さないということです。自分に都合の悪いことは、絶対に言いませんからね。

藤本 確かにそうですね。相手にも話を聞いてみないとわかりません。岩城敏之さんとの対談写真 その3

岩城 ですから、子どもがトラブルを持ち込んできたときは、絶対に「裁判」をしてはいけません。「大丈夫」と落ち着かせ、気持ちを言葉で表わすこと、そして、どうしたらいいかを考える練習をさせましょう。

藤本 最近はトラブルを解決できず、暴力事件など、大事になってしまうことも多いですね。

岩城 人間には長所と短所がある。社会の中でお互いを認め合い、助け合って生きていくことを教えなければなりません。

藤本 今は「地域」も失われてしまいましたが。

岩城 昔は、外で真っ暗になるまで遊んでいましたね。その遊びの中にはたくさんの学びがありました。たとえば「缶蹴り」は、コツコツやってもどんでん返しにあってしまうこともあると教えてくれましたし、「花いちもんめ」では、名前を呼ばれないさびしさを知り、普段からの人づきあいが大切と教えてくれましたね。

藤本 ありましたね、そういう思い出。私たちも、無意識に遊びを通して学んでいたんですね。

岩城 異年齢の子どもが一緒に遊んでいましたから、ルールを変えるのも当たり前だった。小学生と一緒に小さな弟や妹が「鬼ごっこ」はできないでしょ。だから、特別ルールをつくって、みんなで遊ぶ工夫をしたもんです。ところが最近の子どもたちといえば、ほとんどがテレビゲーム。機械相手では、ルールも何もありません。

子どもの興味を広げよう!

藤本 テレビゲームの影響は大きいのですか。

岩城 子どもたちが外で遊ばなくなり、人とコミュニケーションできなくなりました。人間関係の希薄さは、絶対に起因していると思います。ビデオもまた、別の意味で問題です。

藤本 母親に代わって、ビデオに子守りをさせてしまったり。また子どもも、気に入ったビデオは何時間でも見ているんですよね。

岩城 ビデオを物語として理解できるのは、5歳くらいからです。つまりそれまでは、単純にパッパッという画面の展開が面白かったり、場面場面の映像に刺激を受けているだけなんです。

藤本 いわゆるヒーローものや、キャラクターものを見せるのも問題でしょうか。

岩城 否定はできませんが、少なくとも長時間見せ続けることはやめたほうがいいですね。

藤本 小さいうちに与えるおもちゃは、きちんと考えて選択したほうがいいということですね。

岩城 本来子どもの興味というのは、日常生活や自然や宇宙などにあるんです。それを日本では、子どもの興味を遊園地やゲームセンターに向けようとしているんです。メディアに次々とキャラクターを登場させ、新しい玩具を買わせています。日本はアメリカにならって、いまだに経済優先です。もっとヨーロッパ的な志向にならないと、どこかがおかしくなります。

藤本 伝統や文化を重んじるとか、自然や人間との関わりを大切にするとかいうことですね。

岩城 全くその通り。ドイツのおもちゃを見れば一目瞭然。子どもにとって本当にいいおもちゃが、研究し尽くされています。前回の学力調査によると、日本の子どもたちはものすごい勢いで表現力、読解力が下がっていることがわかったんです。やはりテレビゲームの影響も大きいでしょう。先進国はどこもそうでしたが、フィンランドとオランダだけが例外だったのです。

藤本 それは、なぜでしょう。

岩城 フィンランドは、世界一読書する国、オランダは、日本でいう「総合学習」のような、体験学習が多い国といわれています。

藤本 読書の習慣もなくなってきていますね。 岩城敏之さんとの対談写真 その4

岩城 子どもが読み聞かせを喜ぶのは、美しい言葉や美しい声という、あたたかい周波数に包まれて幸福を感じるからなんです。でもそうやって自然と活字に慣れていった子どもは、放っていても、自分の興味のある本を読むようになります。本は読み書きの力を育てるとともに、創造力を養い、学ぶ楽しみを教えてくれます。もちろん知識だけでは何の力にもならないから、同時に豊かな体験学習が大切なんです。

藤本 では最後の質問ですが、岩城さんにとっての夢って何ですか。

岩城 毎日忙しいけれどとても充実しています。私の話を聞いた人が、問題解決力のある親子に成長してくれたらうれしいですね。今、子どもたちに心の戦争が起きているのは、私たち大人の責任です。おもちゃや絵本は奥が深く、つくり手である素敵な大人たちのたくさんのメッセージが込められています。それを伝えることで「1人でも2人でも、自分らしい人生を生きていける人が増えていってくれたら…」と思います。そんなお手伝いができるなんて幸せです。

藤本 今日は絵本やおもちゃの話にとどまらず、たくさんの気づきをいただきました。これからも全国を回って、たくさんのメッセージを伝えていってください。ありがとうございました。

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