岩城 2歳、3歳になれば、他者との交わりもあるし、好奇心からさまざまなことに挑戦したがります。ですからトラブルが起こる。そんなとき、親がどう対応するかがポイントなんです。
藤本 お手伝いをしたがるのに、失敗ばかり。子ども相手に、つい大声で叱ってしまいます。
岩城 子どもが食事中にジュースをこぼしたとき、さあ、どうしますか。
藤本 「何やってんの! だから、気をつけなさいって言ったでしょ!」。
岩城 ハハハ。そんなときの「魔法の言葉」があるんです。「大丈夫よ」と、まずはそう言って落ち着かせてあげる。同時にそれは、お母さん自身にも言い聞かせるのです。
藤本 「大丈夫」で、どれだけ子どもは救われるでしょう。母親が落ち着くことも大事ですね。
岩城 子どもはトラブルを糧にして成長していくものです。人間関係に失敗したときや思い通りにいかないとき、つまり、元気じゃないときに子どもはお母さんの所に来るんです。元気と落ち込みの繰り返し。この2つの周期を理解して、うまく子どもとつきあってほしいですね。
藤本 当たり前のことですが、私も含めて意外に気づいていない人が多いと思います。
岩城 虐待問題もそうです。子どもは拒絶されても、命がけで母親にひっついていくんです。どんなにダメ親でも、虐待されても、それでも子どもはお母さんが好き。それが、悲惨な結果につながることもあるんです。
藤本 母親は絶対の存在なんですね。
岩城 生まれたときから、存在を認知されているんですよ。考えたらすごいことでしょ。
藤本 母親も、子どもが生まれてきてくれたことに感謝して、ともに成長していかなくてはいけませんね。
岩城 完璧な親である必要はないのだから、できるだけゆとりを持って子育てをしてほしいですね。覚えていてほしいのは、子どもは「被害届」しか出さないということです。自分に都合の悪いことは、絶対に言いませんからね。
藤本 確かにそうですね。相手にも話を聞いてみないとわかりません。
岩城 ですから、子どもがトラブルを持ち込んできたときは、絶対に「裁判」をしてはいけません。「大丈夫」と落ち着かせ、気持ちを言葉で表わすこと、そして、どうしたらいいかを考える練習をさせましょう。
藤本 最近はトラブルを解決できず、暴力事件など、大事になってしまうことも多いですね。
岩城 人間には長所と短所がある。社会の中でお互いを認め合い、助け合って生きていくことを教えなければなりません。
藤本 今は「地域」も失われてしまいましたが。
岩城 昔は、外で真っ暗になるまで遊んでいましたね。その遊びの中にはたくさんの学びがありました。たとえば「缶蹴り」は、コツコツやってもどんでん返しにあってしまうこともあると教えてくれましたし、「花いちもんめ」では、名前を呼ばれないさびしさを知り、普段からの人づきあいが大切と教えてくれましたね。
藤本 ありましたね、そういう思い出。私たちも、無意識に遊びを通して学んでいたんですね。
岩城 異年齢の子どもが一緒に遊んでいましたから、ルールを変えるのも当たり前だった。小学生と一緒に小さな弟や妹が「鬼ごっこ」はできないでしょ。だから、特別ルールをつくって、みんなで遊ぶ工夫をしたもんです。ところが最近の子どもたちといえば、ほとんどがテレビゲーム。機械相手では、ルールも何もありません。