スペシャル対談 藤本裕子が各界トップに迫る!

スペシャル対談 藤本裕子が各界トップに迫る!

モノづくりのまち東大阪を世界の楽市楽座に  東大阪市モノづくり親善大使  青木豊彦さん

「がんばろう関西!」のCMでおなじみ、「人情に厚い、大阪の元気なおっちゃん」を地でいく強烈な個性の持ち主こそ、米・ボーイング社認定の航空機技術を誇る株式会社アオキの社長、青木豊彦さん。多くの人々に宇宙への夢と可能性を広める人工衛星「まいど1号」の開発プロジェクト発起人という大役を果たし、次世代へバトンタッチ。現在は本業の傍ら、モノづくりのまち東大阪の顔として全国で講演活動中。モノづくりにかける青木さんの熱い思いに迫る!

 

東大阪市モノづくり親善大使 青木豊彦さん
あおき とよひこ  1945年大阪府生まれ。高校を卒業後、父親が経営する青木鉄工所に入社。95年に社名をアオキに変更するとともに代表取締役に就任。97年にはアメリカの航空機メーカー、ボーイング社の認定工場となる。2002年には「東大阪宇宙開発協同組合」を立ち上げ、自ら理事長として専心。今年2月には後任に譲り、現在は「東大阪市モノづくり親善大使」として講演会やメディア発信などで活躍中。
http://www.aoki-maido.co.jp

世界に通用する航空機技術を

藤本 最近は、どうも世の中が元気じゃありません。そこで今日は、元気な青木節を期待してまいりました。どうぞよろしくお願いします。 青木豊彦さんとの対談写真 その1

青木 今日まで、ぼくなりに中小企業の一経営者としてできることをやってきただけですから、皆さんに何がお話できるか…。

藤本 テレビCMも、東大阪市モノづくり親善大使もしかり。青木さんがどれだけ多くの大阪人、日本人を元気にしているかわかりません。「東大阪から人工衛星を飛ばそう」なんていう 発想自体、普通では考えられません。  

青木 たまたまぼくの場合、親父が始めた鉄工所を、高校1年のときから手伝っていたんです。

藤本 家業をやることに、抵抗はありませんでしたか。

青木 「手に職をつけたら一生食べていける」と言われ、高校を卒業して正式に入社。モノづくりの世界に入り、その素晴らしさ、面白さを知ってしまうとすぐに仕事が「夢」そのものになりました。「NASA(米航空宇宙局)を目指そう」というキャッチフレーズをつくったのは、ぼくが30歳のときです。農業用機械や部品製造が主だった会社でロボット部品や航空機部品という新しい事業を始めたのです。

藤本 今、宇宙に行っている「ディスカバリー」も、そのころは夢だったのですね。

青木 当時は「なーにが宇宙だ!?」と、よくみんなに笑われたものです。ですから最初の夢が叶い、ボーイング社の認定を受けたときはうれしかったですね。東大阪の町工場がですよ。

藤本 熱い思いが、夢を叶えたのですね。

青木 「思い続けること」がいかに大切かを、身を持って知りました。

藤本 かなり昔の話ですが、私、CA(※)としてボーイング社の飛行機に乗っていたんです。

※CA/キャビン・アテンダント(cabin attendant)の略。旅客機で、乗客の世話をする常務員。客室乗務員。 

青木 それはうれしいな。それなら飛行機のことは詳しいでしょう。

藤本 いいえ。727とか737とか、型を知っているくらいで。実際にアオキさんでは、機体のどの部分をつくっていらっしゃるのですか。

青木 レドームという飛行機の先端部分や比翼のカバーとかです。

藤本 人の命を預かる飛行機のパーツですから、本当に責任のある仕事ですよね。

青木 東大阪には7000という数の中小企業(製造業)がある。それぞれ優秀な技術者がいて、世界に誇れる製品、部品をつくっています。地道な職業とはいえ、もう少し夢のある仕事ができないか。若者がモノづくりに魅力を感じて集まってくる、そんなまちにしたいという思いでした。

藤本 若者は、モノづくりの面白さを知らないのでしょう。それに、自分にはそんなことできないと思い込んでいるんじゃないでしょうか。

若者たちに本気で伝えたい思い

青木 みんな下積みを経て、伝統の技や独自の技を身につけていくのです。やはり「3K」といわれる「きつい」「きたない」「きけん」のイメージから逃げてしまうのでしょうか。

藤本 最近は人々の価値観も変わり、自立した仕事や生き方が求められています。

青木 モノづくりは自分との闘いだから、ものすごく可能性がある。楽しい仕事なんだけどな。

藤本 ロケットをつくろうなんて、青木さんの夢が、多くの若者に夢を持たせたわけですね。素晴らしい戦略です。

青木 ぼくは、本気でやりたいんですよ。何だって叶わないことはないんだから。

藤本 お金や物よりも、もっと大切なものがあると伝えていくのは難しいですね。

青木 本気でやったときに、初めてお金はついてくる。それからお金のこわさも教えたい。お金があり過ぎたら、人間ろくなことにはならないし、お金で夢は買えません。

藤本 お金さえあれば何でもできるという考え方は、とても危険ですね。

青木 自分の夢は他人に評価できるものではないわけで、結局、どこまでアホになりきれるかだと思います。ぼくはその典型で、うちのお母ちゃんは「あんた何してんの!? 東大阪より、アオキようしてや」が口ぐせです。

藤本 さすが! パートナーがしっかりしていらっしゃる。青木さんが人工衛星プロジェクトのリーダーをなさっていたときは、本業どころではなかったそうですね。 青木豊彦さんとの対談写真 その2

青木 今年2月に、若者たちに夢を託して退任しましたが、SOHLA(東大阪宇宙開発協同組合)の理事長を務めていた4年間は、ほとんど仕事をしていませんでした。

藤本 パートナーの懐の深さと、スタッフの皆さんの理解に感謝しなければなりませんね。

青木 うれしいことに、従業員はぼくの考えに共感し、誇りを持って意欲的に仕事をしてくれましたので、能力も業績も伸びました。うちにはどこにも負けない優秀な職人がたくさんいる。

藤本 トップの志にスタッフが一丸となって取り組み、しかも業績を上げる。これはもう会社としては理想ですね。スタッフの皆さんにとっても、誇りだと思いますよ。

青木 志は高くても、人間は弱い動物です。常に自分を奮い立たせてがんばっていくのは、結構しんどいんです。でもそんなとき、どれだけ多くの人に支えられてきたか。大事なのは人間関係。人間として、どれだけ誠意を持って真剣に向き合えるか。それがすべてだと思います。

藤本 講演会も多いそうですが、同じですね。

青木 企業向けの講演が多いのですが、ぼくとしては若者たちに、宇宙の面白さとモノづくりの面白さを、本気で伝えたい。

藤本 ものすごく大きなテーマですが、どちらも実体験として伝えられるわけですね。

青木 中学校や高校の講演会も多いけれど、先日は地元、高井田東小学校の4〜6年生に話をしました。講演後に、感想を書いた作文をもらったんですが、うれしかったですね。

藤本 どんなことを書いてくれましたか。

青木 宇宙への興味がわいた、東大阪はいい町だと初めて知った、そんなすごい会社が身近にあるなんて驚いた、工場を見たいと思った…。子どもたちの吸収力には驚きです。

藤本 子どもらしい素直な感想ですね。でもそれは、青木さんの情熱があってのものでしょう。

青木 ある有名大学での講演会のときに、主催する先生が控え室でおっしゃるんです。「入って900人程度でしょう。学生たちは人の話を聞くのがあまり得意じゃないんで、途中で退席したり、ケータイを始めたりすると思いますが、気にせず1時間半しゃべり続けてください」と。

藤本 状況は想像つきますが、それもかなしいですね。

青木 結果はなんと、1300人もの学生が聞きに来てくれた。もちろんぼくも全力投球ですが、最後まで全員が熱心に聞いてくれました。「面白いと思った人はいっぺん来てくれ」と言うと、何人かの学生が工場まで来てくれました。

藤本 素晴らしい影響力ですね。行動させるのは、なかなか大変です。

青木 パソコンもカメラも自由に使いこなす若者。理工系の得意な人もたくさんいるのに、彼らにモノづくりの面白さを伝える手立てがない。

藤本 モノを買うことはあっても、自分で生み出そうという発想がない。モノづくりは、自分を知ることなのかもしれません。

青木 モノづくりは奥が深いといわれて、やめる人もいれば、やろうという人もいるんです。

藤本 子どもは、楽な道、安全な道を選びたがるし、それは私たち親世代も同じです。

青木 貧しい時代と違って、今は何でもできる時代です。もっと勇気や志、プライドを持って、地域のため、社会のためと立ち上がってくれる若者を育てたいんです。

藤本 それには何が必要でしょう。

望遠鏡と顕微鏡、両方の視点えお

青木 モノづくりの感性は12歳から25歳までに育てなければいけません。いまどきの親は五感を磨くべきときに子どもの欲求を無視して、親の見栄で価値観を押し付けようとする。まずは親の意識から変えていかないといけません。

藤本 生き方を示せる大人が少ない時代です。

青木 子どものころは、大人が働いているのを見て、すごいなと思いました。モデルがいない今だからこそ、教育が大事だと思います。

藤本 学校では「生きる力」をつけさせようと、先生方もがんばっていますが。青木豊彦さんとの対談写真 その3

青木 教育者は他人の人生を左右する、とても重要な役割を持っています。小学5年生のある日、先生が地球儀を前にして「宇宙の中の地球、地球の中の日本、日本の中の大阪。宇宙を見てみい。まだまだ広いんやで。みんなは将来に大きな夢があるんや」と話された。以来、いつもどこかに宇宙を意識しているぼくがいました。ロケット打ち上げのニュースや大阪万博で目にした「月の石」もまた、ぼくを応援してくれた。

藤本 チャレンジ精神とタイミングが功を奏して、宇宙への大志を描いたのですね。

青木 マニュアルしか教えられない先生はダメ。望遠鏡で見る世界と顕微鏡で見る世界の両方を、バランスよく教えてほしいと思います。あるいは、教育が複雑になり過ぎているともいえるでしょう。直球でストライクを投げていけば、もっと素直に子どもたちに受け止められるかもしれません。大人には、これからの地域社会を担う子どもたちを育てていく責任があります。

藤本 東大阪は、モノづくりのまちとして、宇宙開発に挑むまちとして、すでにブランド化されていますね。

青木 東大阪の中小企業も、4、5年前はバタバタでした。今は上がるしかない状況ですから、何とかモノづくり人口を増やし、ボトムアップさせていかなければなりません。

藤本 モノづくりにふさわしい人材とは。

モノづくりは人づくり、を信条に

青木 魂を持っている人。思いがあれば、アイデアも出る。東大阪から「モノづくりのカリスマ」をつくって発信していきたいですね。

藤本 クリエイション・コア東大阪も、産学協同(※)の新しい施設だそうですが。

※産学協同/産業界と学校とが相互に協力し合い、研究や技術者教育の促進をはかること。民間企業が大学の研究機関に資金を投じ、大学での研究結果を企業がビジネスに結び付けようとする動き。

青木 中小モノづくり企業を対象とした、モノづくりに関する総合的な支援施設です。経験豊富なコーディネーターが中心となり、人と人、技術と技術を結びつけることで、新たなビジネスチャンスの拡大を目指しています。

藤本 ハードだけではない、ソフトの支援も大きな要素になっているわけですね。

青木 モノづくりは人づくり。最先端、高いレベルの技術を求めるなら、人材育成に時間やコストをかける必要があります。情報を集約させることで学びの機会が増え、向上できると確信しています。最近は修学旅行生がこのまちにやって来て、クリエイション・コアやうちの工場を見学していってくれる。

藤本 そこで青木さんが夢を語れば、ますます若者たちに刺激と勇気を与えることでしょう。

青木 町工場の東大阪も愛着があるが、これからは「ハイテクのまち」といわれたい。

藤本 「モノづくり親善大使」に任命され、自ら「モノづくり東大阪」のPRに努めていらっしゃるそうですね。

青木 歯ブラシからロケットまで、何でもつくれる東大阪。中小企業の高い技術力と職人技を広く人々に発信し、全国、いや世界から、企業、若者が集まるまち、楽市楽座にしたいですね。東大阪や大阪にとらわれず、日本が誇るモノづくりを世界に訴えていきたい。いずれどこかに情報発信基地をつくりたいと思っています。

藤本 壮大な夢ですね。青木さんには実績も人脈もある。必ず思いは叶いますよ。  

青木 夢じゃなくて、正夢です。どうせやるなら派手にやりたい。ぜひ藤本さんにも、力を貸してほしいと思います。

藤本 それならひとつお願いがあります。先ほど、モノづくりの感性は12歳からとおっしゃいましたが、子どもの感性はもっとすごいと思うんです。本能というか、地球的、宇宙的感性…。もっといえば、赤ちゃん? お母さんのおなかの中にいるときが一番すごいのかもしれません。

青木 なるほど、面白い発想ですね。

藤本 モノづくりが人づくりなら、まさに「子育て」と同じ。東大阪と宇宙、ハイテクと子育て。

青木 いやあ、全く新しい気づきですね。モノを生み出すことと、母親が子どもを産み育てること。確かに、共通点がたくさんある。

藤本 これからは、青木さんの夢のひとつに、ぜひ「子育て」というテーマを入れてください。  

青木 国のモノづくり政策として「マイスター制度」(※)の提案も大事だけど、「子育て政策」も大切というわけですね。今日は反対に、ものすごいテーマをもらいました。

※マイスター制度/伝統的モノづくりを継承し、後継者育成・地元産業活性化のために、職人の技能と理論を実践と教育で培う制度。卓越したモノづくり技術・技能を持つ人をマイスターとして認定し、「匠の技」を継承、発展させようというもの。 青木豊彦さんとの対談写真 その4

藤本 こちらこそ、世界や宇宙をステージにした青木さんにたくさん学ばせていただいた上にそんな言葉をいただけるなんて光栄です。『ビーボラビータ』は狭義の教育情報誌ではなく、人間の生き方を通し、広く、多くを伝えていけたらと思っています。ぜひ、応援してください。

青木 ぼくにできることなら、何でもしますよ。

藤本 青木さんの一途な思い、あたたかい人間性を、子どもたちはきっと直感で理解するでしょう。ぜひ、学校や地域でお話を聞かせていただきたいですね。今日は本当にありがとうございました。今後ともますますのご活躍を。

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