シュルツ ウィーンでも子どもたちを集めて吹いたことがあります。そのときはフルート奏者として、オーケストラの中でフルートが持つ役割などを話し、いろいろな音色を聴かせたりしながら、演奏しましたよ。
藤本 日本にも子ども向けのクラシックコンサートや音楽イベントは、ほかにもあるんです。でもシュルツさんが吹いてくださるのだから、本物の音楽をしっかり聴かせたかった。子どもだからここまででいい、子どもはわからないからと、子ども向けのプログラムにはしたくなかったんです。「今日は大人と同じ曲を聴くのだから、大人がびっくりするくらい、マナーを守って聴きましょうね」と、そんなコンサートに。
シュルツ 子どもたちに本物をという趣旨は、よくわかります。子どもは感性で聴けるので、案外、大人より理解力があるかもしれません。
藤本 日本はどうしても子どもに媚びる文化があって、それは少し違うかなと思っています。
シュルツ 子どもをひとりの人格として認め、尊重することが大切です。子どもをひとりの人格として認め、尊重することが大切です。
後藤 子どもにわかる言葉や音で説明するのと、子どもだましの曲をやるのとは大違いです。
藤本 昨日も前半の後藤さんのソロでは、わかりやすい言葉で解説してくださったおかげで、我々大人も含め、子どもたちにはすんなりと音楽が耳に入ったのではないでしょうか。本来、ある程度の知識や感性を持っていれば、説明がなくてもいいのかもしれませんが。日本の教育では、そこが足りないように思います。
後藤 日本では、子どもがクラシック音楽を聴ける機会はほとんどありません。ホール側が、子どもは入場厳禁とうたっている所もあります。
藤本 音楽をゆったりと楽しみたい方もいらっしゃいます。でも、時には子ども向けのコンサートもありだと思うのです。最低限のルールをわきまえれば、ですが。昨日は、最後のほうで少し騒々しくなってしまい、失礼いたしました。演奏中に気になったのではないですか。
シュルツ 1000人もいれば当然でしょう。もともと子どもは長時間は我慢できません。それは親ごさんのマナーの問題でしょうね。
藤本 途中でお子さんが泣いて席を立たれ、ロビーのモニターでご覧になっている方もいらっしゃいました。でも中には、子どもが泣いても平然としている人、通路を走る子どもに注意を与えない親ごさんも。子ども向けのコンサートならば、何でも許されるわけではありません。
後藤 きっと初めてのクラシックコンサートで、ルールやマナーをご存じないのでしょう。音楽を楽しむ服装にしてもそうですね。
シュルツ 昔はネクタイに上着が決まりでしたが、今はあまりうるさくなくなりました。パーティーやオペラにはフォーマルで行くのと同じ、少しは意識したほうがいいかもしれないね。
後藤 昨日はロビーで一緒に写真を撮ったりしましたが、小さいお子さんも、皆さんおしゃれをしてきてくれましたよ。
藤本 昨日はロビーで一緒に写真を撮ったりしましたが、小さいお子さんも、皆さんおしゃれをしてきてくれましたよ。
シュルツ きっと、ピアノの発表会のお洋服で来てくれたお子さんもいるでしょう。世界一の音楽も、大阪市中央公会堂のライトアップも、子どもたちには特別な夜になったと思います。
後藤 そういう機会を大人たちが意識的につくり、与えてあげることが必要なんです。
藤本 公式の場で、子どもに何をどう伝えられるかですね。親も子も練習が必要です。
シュルツ 子どもにとっても親にとっても、次は一体何が起こるのかわからない。たとえば、拍手のタイミングもわからない。そんな中での初めての試みにしては、上出来じゃないですか。
後藤 昨日の「アンコール」のコールは、シュルツさんも初めてのご経験だったと思います。
藤本 クラシックコンサートでは「ブラボー」の声やスタンディング・オベーション(※)が通例ですが、我々はほとんどが経験がありません。あの「アンコール」は、心からの「ありがとう」という声だったと思います。
※スタンディング・オベーション(standing ovation)/立ち上がってする拍手喝采。
シュルツ 前のほうの席しか見えなかったけれど、それはもう最高の笑顔と拍手をくれていたからわかります。ぼくもとてもうれしかったよ。