スペシャル対談 藤本裕子が各界トップに迫る!

スペシャル対談 藤本裕子が各界トップに迫る!

信念を持って生きること 大阪市立成南中学校長 大阪市立中学校長会 会長 宮田逸子さん

大阪市教育プログラムに沿って、さまざまな取り組みが実施されている今、市立中学校長会初の女性会長として、積極的な改革の推進に向け、八面六臂の活躍を見せる宮田逸子先生。成南中学校の校長室の扉を開けると、パーッと花が咲いたような明るい笑顔に迎えられました。歯切れのよいトークに引き込まれ、教育とい本来のテーマを忘れてまうほど、楽しい時間になりました。

 

大阪市立成南中学校長 大阪市立中学校長会 会長 宮田逸子さん
みやた いつこ  1950年奈良県出身。関西学院大学卒業後、1975年大阪市立加賀屋中学校教諭として奉職。新巽中、上町中を経て、1993年に大阪府教育委員会指導主事として勤務。95年には玉出中の教頭に。さらに98年には西淀中の校長に就任。2002年から成南中の校長として現在に至る。同時に、大阪市立中学校長会の書記を経て、昨年より校長会初の女性会長に就任。学校、校長会と、多忙な毎日を送る。趣味は読書。好物は、おそばとシュークリーム。

目の前に越えられない壁はない

藤本 大阪市立中学校長会初の女性会長という大役をお務めですが、「男社会」の中でやっていく上宮田逸子さんとの対談写真 その1で、問題はありませんか。

宮田 最初は、「女性ごときが…」と言われるだろうと覚悟していました。ところがいざやってみると、皆さんやさしく、あたたかく受け止めてくださる。言葉不足のところは補っていただき、力不足のところは許していただいています。「さすが、校長先生方やなあ」とつくづく実感しています。

藤本 これまでとは違った、皆さんからの期待も大きいと思いますが。

宮田 女性ということで、やはり「やさしさ」を求められがちですが、本当の「やさしさ」は真の「強さ」があってこそ。この通り、私は体も小さいし、腕力も体力もありません。社会的にもまだまだ何もできていません。だからこそ、私に求められているのは、ハートにある力だと思っています。

藤本 力強いお言葉ですね。就任されてからは、とてもお忙しいのでしょうね。

宮田 以前と変わらず、「平常心」でやっています。それは、校長会という立場だけでなく、学校の中でも同じ。足下がふらついては本末転倒です。

藤本 具体的には。

宮田 生活の中心は、あくまで学校です。出張から帰ったら30分でも1時間でも多く学校に身を置くこと。校長になって6年になりますが、ずっとそうしてきましたから、今もそれを続けているだけですけれど。

藤本 実質的に時間は削られているわけですから、肉体的、精神的にも相当負担はあるはずですが。

宮田 与えられたことは「必ずできる」。だって、誰も私に「1億円貸して」と言わないですもん。絶対に、越えられない壁は自分の目の前には現れないと思っています。

藤本 確かにそうですね。

宮田 根っから落ち込まない性格で、けっこう前向きなんですよ。今もこうしてお役をいただき、いろいろな方と出会う機会を与えていただいています。人に出会えば、必ず世界がまた広がります。ですから本当に、毎日が楽しくて。

藤本 苦労も含めてすべてが「チャンス」であるという考え方は、私も賛成です。

宮田 一生懸命にやって初めて、悔いのない人生がつくれるのだと思います。

藤本 究極のテーマですね。

校長に求められる経営の手腕

宮田 先日、テレビで本田宗一郎さんの一生を拝見しました。最期の言葉は「人生を楽しませてくれてありがとう」だったそうですが、「油と仲間と機械と共に私の人生はあった。もうこれで十分だ」といえる人生なんて、素敵ですよね。「日本一になるには、世界一にならなくては」という信念も、さすがと思いましたね。

藤本 ビジネスも教育も、人生という意味では同じなのですね。

宮田 私は昔から本が大好きで、本屋さんに行ったら3時間は出てこないのですが、ここだけの話、いつも見るのは「教育」ではなく「ビジネス」の棚なんです。

藤本 うわぁ、意外ですね。

宮田 起業家の本を読むと「血沸き肉踊る」というか。「さすが!」と、感心することばかり。それで、メモするんですよ。

藤本 えっ!? タイトルをですか?

宮田 いいえ、何でもですよ。その言葉だったり、情報だったり。

藤本 校長先生、いいんですか?

宮田 あるとき本屋さんの人に「お客さん、それはやめていただけませんか?」って。

藤本 でしょうね。

宮田 それで私、今度は頭で覚えてから一旦本を置いて、店の外に出るんです。急いでメモを出して書き留めるんです(笑)。

藤本 校長先生からそういうお話を聞くと、なんだかうれしいですね。

宮田 だって、欲しいと思う本を全部買っていたらたまらないですもん。

藤本 「経営学」を学ぶのですか。

宮田 経営のノウハウだったり、生き方の哲学だったり、いろいろです。

藤本 最近は、民間の校長先生を採用するなど、学校もマネージメントが大切といわれていますね。

宮田 若いころから「経営」に興味や関心がありました。学年経営から学校経営と経験しましたが、校長も「飾り」ではやっていけません。経営の手腕が必要でしょう。

藤本 具体的には、どのような?

宮田 授業や総合的な学習、習熟度別学習をどうしていくかなど、さまざまな課題を解決しなければなりません。方針や対策を示す決断力、実行力、指導力などが必要です。これからの時代は、風穴を開ける、開拓していくことが、リーダーに求められるでしょう。

藤本 いわゆるリーダーシップとは?

宮田 統率力だけではダメ。やはり、人間性そのものが物を言いますね。これは、校長に限らず、いえることだと思います。

藤本 経験に基づいたお言葉ですね。

理解することからすべてが始まる

宮田 学年主任、教頭、校長という段階を経た経験はすべて生きています。その中で痛感するのは「良きサブになれなければ良きリーダーにはなれない」ということ。また、今も、良きサブに多く恵まれています。

藤本 何かを成すには、ひとりではできませんね。

宮田 「理解する」を英語で「Understand」といいますが、上から押しつけるのではなくて、「Under」の精神でやっていく。まずは自分の靴を脱いで、好みもサイズも違う相手の靴を履いてみる。そうやって相手を知ってから、自分をかためていくことです。

藤本 理解されてこそ「一緒にやろう」という気になるのですね。

宮田 もうひとつは、「やさしさを持った強さ」です。「信念」ともいえるでしょう。「俺について来い」と言っても、やさしさを忘れた強さは、何の力も発揮しません。

藤本 最近は、自信がない先生もいるようですが、実際に校長先生としては、先生方をどのように指導していかれるのですか。

宮田 自分の目で見る、話をすることから始めて、感じたことは率直に言うようにしています。

藤本 先生は変わりますか。

宮田 変わっていくと思います。教員時代、先輩先生はこわかったですね。それはもう、揺るぎない経験というか信念というか、威厳のようなもの。そして「若い者を育ててやろう」という愛情が感じられました。

藤本 信念や愛情を持ってすれば、ですね。

宮田 決して、なあなあではない「チームワーク」。見かけの「仲良し」ではなく、ひとつの目的に進むためには、厳しさに裏づけされた「チームワーク」が大切です。

藤本 先生も大変ですね。

子どもに哲学を示していく

宮田 教師という職業に、当然厳しさは求められますが、だからといって「偉い」とか「失敗してはいけ宮田逸子さんとの対談写真 その3ない」とは思いません。

藤本 昔は「先生は絶対」みたいなところがありましたね。

宮田 親も先生から言われたら「おまえがわるい」と、子どもに言っていました。

藤本 時代は変わりました。今どきの親や家庭に対しては、どう思いますか。

宮田 「家庭崩壊」は現実問題です。親から電話がかかってくるんです。「今から仕事に出るけど、子どもはまだ寝てるので、あとは頼みます」なんて。校則で禁じられている「茶髪」を注意すれば、「私だって染めてるのに、何がわるいんや!?」と言い返してきます。

藤本 深刻な問題ですね。

宮田 先生は非常にたくさんのものを抱えています。勉強だけ教えればいい、では済まされない。昔はそれぞれに「家訓」がありました。「他は他、うちはうち!」と、父親、母親の考えは絶対のものでした。

藤本 今は「友だち家族」が多く、親がプライドや威厳を持たなくなった。家庭の秩序もルールも、なくなってきていますね。

宮田 子どもに対する「哲学」を示すというか、「人生」を語ってほしい。せめて、「親の背中」を見せてほしいんです。

藤本 「子どもは勝手に育つ」と思っている親もいますし、「親がどんな仕事をしているか」を知らない子どもも多いですね。

宮田 「生まれながらに素質や才能を持った人を金や銀とするならば、自分は鉄である。ならば鉄は鉄として生きる」と言ったのは、弁護士の中坊公平先生です。森永ヒ素ミルク事件の際は、靴をすり減らし、一軒一軒被害者の家を回って話を聞いたそうですが、そういう地道な努力があってこそ、涙なしでは聞けない、あの冒頭陳述が生まれ、勝訴につながったのです。

藤本 子どもたちばかりでなく、親たちも一番苦手なところですね。

宮田 「まじめ」や「努力」という言葉は、死語になってしまったようですね。

藤本 今も本質的にはそういう部分を持っているのに、隠そうとする風潮もあります。

宮田 信念に従ってまっすぐに進む力を伸ばしてやりたい。家庭でも、「背骨」をつくってやることが大事ですね。

藤本 生徒や保護者にも、こういう話を聞かせたいですね。

宮田 教職員には常に話しています。「朝の会」などでは、努めて「こういう生き方はどうだろう」といった話をするように、言っています。わずか3分、されど3分。凝縮した3分ととらえています。

藤本 素晴らしいことですね。保護者にも、直接お話される機会はあるのですか。

宮田 懇談会などでも、子どもたちの現状を伝え、「こういう子育てがいいのではないか」というようなことを話しています。そこへ出席されない親たちもまだまだ多いのは、難しいところですが。

藤本 親たちが、学校や活動に興味を持つような仕掛けはないですか。

宮田 本校の取り組みとして、夏休み前の短縮授業を45分から50分に変えました。1日4時間だから20分、10日で200分の時間がプラスされます。

藤本 そう考えると、大きいですよね。

宮田 今までとは違う、何かやろうとしている、と知らせていくことが大事です。

藤本 大阪市では「教育改革プログラム」が推進されていますが、わかりやすく説明していただけませんか。

宮田 完全学校週5日制になり、新しい教育課程が実施されています。新たな時代にふさわしい「大阪らしい」教育を目指したものです。教育も、3年、5年、10年経つと、どうしても価値が決められてしまいます。企業もそうですが、現状維持は敗北も同然。とはいえ、「改革」だからとただ変えればいいのではなく、変えるからには、前より良いものにしなければなりません。

藤本 満足や納得がいくものとはどんなものでしょう。

宮田 「子どもを預けて安心」の学校をつくりたい。学校の教育内容をどんどん発信していくことも大事でしょう。先生方の評価育成システムも立ち上がっていますが、資質向上を目指していくためにも、大切な一歩といえるでしょう。

藤本 文部科学省の学習指導要領も「ゆとりの学習」と「学力」の問題について、いろいろいわれていますが。

宮田 教育の行方が定まっていない感はありますが、「学力」も「生きる力」も基礎、基本さえしっかりしていれば問題はありません。大切なことは、頭ばかりでなく、精神の部分に、しんばり棒のようなものをしっかりと体験でこしらえていくことです。子どもたちにも、信念を持って生きることの素晴らしさを伝えたいですね。宮田逸子さんとの対談写真 その4

藤本 今後は、どう指導していくのですか。

宮田 教職員には、なるべく明解に、わかりやすく語れるようにと指導しています。それには相手(子ども)を理解することが先。決して量ではなく、根幹を大切に。勉強は、9つの教科で分けられるものではありません。その狭間や、どれにも属さないものもたくさんある。ですから我々は、各教科を横断しながら興味、関心を引っぱり出し、伝えていけたらと思っています。

藤本 親としては、関心を持つことから始めて、一緒に教育を変えていけたらと思います。今日はありがとうございました。

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