スペシャル対談 藤本裕子が各界トップに迫る!

スペシャル対談 藤本裕子が各界トップに迫る!

社会を変えるのは私たち ネットワーク『地球村』代表 高木善之さん

「平和な社会」の実現を願い、行動する日本最大級の環境NGO、ネットワーク『地球村』の代表として、12万5000人の会員に情報を発信。年間300回を越える講演、セミナー、ワークショップを全国各地で展開する高木善之さん。エネルギッシュな活動の原点となる「人間の生きる意味」、そして「私たちにできること」などを伺った。

 

ネットワーク『地球村』代表 高木善之さん
たかぎ よしゆき  1947年堺市出身、大阪市在住。1970年大阪大学卒業後、松下電器産業に入社。自らの交通事故の体験をきっかけに「環境問題」に取り組み、1991年に創設したネットワーク『地球村』は、現在日本最大級の環境NGO(非政府組織)となっている。「美しい地球を子どもたちに」と呼びかけ、現状の社会から環境調和の社会への転換、「地球市民国連」設立構想(世界中の市民ネットワーク)を提唱。全国各地で年間300本以上の講演をこなす。国連地球サミットにも出席。以前はオーケストラ指揮者としても活躍。著書は『本当の自分』『地球村宣言』『オーケストラ指揮法』『転生と地球』など多数。


●ネットワーク『地球村』は環境と平和のNGOとして、講演会などさまざまな活動を行っています。また、環境情報や生活情報をインターネットや毎日のニュースレターでお知らせしています。
http://www.chikyumura.org

寝たきりのベッドで気づいたこと

藤本 講演会では、主にどんなテーマでお話をされるんですか。高木善之さんとの対談写真 その1

高木 ネットワーク『地球村』は、日本で一番大きなグリーンコンシューマネットワークですが、テーマは環境にとどまらず、地球のため、子どものためになるすべての情報といってもいいでしょう。

藤本 改めて「グリーンコンシューマ」の意味を教えていただけますか。

高木 直訳すれば「環境にやさしい市民」。環境破壊だけでなく、飢餓や貧困、戦争や差別など、すべての不幸のない「平和な社会」の実現を願い、行動する人のことです。環境先進国を見れば、グリーンコンシューマは市民の7割(70%)に対し、日本はわずか1%。これでは社会は変わりません。

藤本 「環境」というと、エネルギー問題、ゴミ問題…。「平和」というとまた、少し違ってくるようにも思いますが…。

高木 環境、平和、福祉…、テーマは数えきれませんが、実はすべてがつながっているんです。根本的な問題はひとつ。それを解決しようというのが、ぼくの仕事です。

藤本 ズバリ、どういうことですか。

高木 やはり「人」ですね。社会を変えられるのは、私たち市民。市民の意識が変わることで、社会は大きく変わります。

藤本 でも、人の意識を変えるのって本当に難しいですよね。私も市民活動をいろいろやってきて、つくづく感じます。

高木 人は教えられても変わらない。ですからまずは事実を伝える。とくに日本は、環境の実態だけでも一般に知られているよりはるかに深刻ですから、それを知ることで、たいがいの人は「このままではダメだ」と気づきます。

藤本 私たちは、当たり前に暮らしている社会に多くの矛盾があることを知りません。おまけに毎日のことに精一杯で、人のこと、社会のことを考える余裕もありません。みんな自分のことだけ。自分が幸せならそれでいい、と思ってしまっています。

高木 ぼくも昔はそうでした。いい学校に行って、いい会社に入る。人よりいい給料をもらって、いい車に乗って…。それが幸せだと勘違いしていました。「いい生活をするのはなぜ?」「どうして贅沢をするの?」「贅沢をしてうらやましがられたいの?」と、自問自答の果てに、やっと気づいたのです。当たり前と思っていたことがすべて「思い込み」で、それは一種の「洗脳」だったと。

藤本 その洗脳に気づいたのは、何かきっかけがあったのでしょうか。

高木 ぼくは交通事故にあって生まれ変わった。それまでの自分の生き方や物の考え方が変わり、すべてが見えてきたんです。

藤本 いつごろのことですか。

高木 34歳のときでした。幸い命はとりとめたが、生きがいだったピアノは二度と弾けない。一生の仕事と信じてきた合唱の指揮台にも戻れない。それどころか普通に歩くことも、家族と出かけることも、寝転がってテレビを見ることもできなくなると医師から宣告されたのです。そうなるともう、「死」を考えてしまうんです。迷惑をかけるばかりの自分に生きている意味はないって。

藤本 そこまでいって初めて、生きてることの意味が見えてきたんですね。

高木 寝たきりでしたから、考える時間はたくさんありました。自分の中のもうひとりの自分との対話ですね。

藤本 どんな風に考えられたのですか。

高木 当時は合唱コンクールの指揮をしていて、勝てないことに悩んでいました。でも「何のために勝ちたいの?」「勝ったらどうなるの?」と問いかけていくうちに答えに詰まり、立ち往生してしまいます。そして、何度もやり直すうちに、「自分が信じてきたことはあまりにもおかしなことだったんだ」と気づき、愕然としたのです。

藤本 その答えは何だったのですか。

高木 名声やお金には意味もありません。勝つために音楽をやるんじゃなく、音楽が好きだからやるんだと気づいたのです。

藤本 きわめてシンプルなことですね。

高木 考えたら子どもはみんなそう。したいことをするし、したくないことはしない。

生きてることって素晴らしい

藤本 子どもに間違った価値観や理想を押しつけて「勉強しなさい」ではダメですね。高木善之さんとの対談写真 その2

高木 この前、広島の公立高校で1500人の生徒と先生を前に環境問題の話をしました。初めはざわざわして話にならなかったんで、ぼくは口調を変えて言ったんです。「今ぼくは世界のことを話してるんじゃない。君たちのことを話してるんだよ。今きっと、君たちは自分のことを見失ってるんじゃない? 受験、大学、それとも一体何をやりたくて生きているの?」って。

藤本 反応はどうでしたか。

高木 みんな、シーンとして聞き始めました。「君たちは何のために生まれてきたの?」「生きる意味って何だと思う?」「ほんとに大人になりたい?」って。今一番必要なのは、子ども一人ひとりの価値を認めること。「大きな車や素敵な洋服を買ったり、ゲームに勝つことが素晴らしいことなんかじゃない。それよりもっとすごいのは、今ここに生きてるってこと。かけがえのない自分の存在価値に気づいてほしい。だからみんな、一人ひとり自信と夢を持って生きていってほしい」と話したんです。子どもは素直ですから、みんな泣き出しました。

藤本 当たり前過ぎて、「生きてること」の意味なんて考えたことがないのでしょうね。

高木 世界平和も環境問題もひとつの現象で、大切なのは、一人ひとりの「心」だと話しました。世界に無関心なのは自分に無関心だから。自分を受け止められる人が、人を受け止めることができるんです。

藤本 生徒もそうですが、先生たちにもグサッときたんじゃないでしょうか。

高木 あとで知りましたが、有名な進学校だから生徒も先生も「受験」に役立たないことはやらないし、聞かないという姿勢だったらしいんですよ。講演会なんかで2時間も潰れるのはもったいないって。ところが、ぼくの話が終わったときには生徒も先生も総立ちで、拍手が鳴り止みませんでした。

藤本 受験を目指す子どもたちに、そういう話ができたことはとても意味があったでしょうね。でも、一番耳が痛いのは我々親たちじゃないですか。

高木 たとえば暴走族を取り締まっても、いたちごっこでは何の意味もありません。それと同じで「学校に行きたくない」子をなだめたり、無理やり学校に行かせても、何の解決にもなりません。

藤本 じゃあ、どうすれば?

高木 子どもが行きたいと言い出すまでじっと待つ。お母さんがお父さんを指して、「いい大学に行かないとお父さんみたいになるよ」と言うから子どもは迷子になってしまう。なんで「お父さんほど素晴らしい家を建てられる大工さんはいないし、お父さんほどおいしい野菜をつくれるお百姓さんはいないよ」と言えないかです。みんなに喜んでもらえる立派な仕事をして、人に生かされてこそ生きる意味があるんです。

藤本 「落ちこぼれ」なんていう言葉もなくなりますね。

高木 しかも、その価値をつくるのは自分。人がどう判断するかではなく、自分がどう思えるかです。

藤本 親よりも先にそれに気づいた子どもたちが、不登校になる場合もありますね。

高木 そのサインを感じて、周りの大人たちは変わらなきゃ。先生も「学校としては…」ではなくて、ひとりの大人として子どもに向き合ってほしいですね。高校時代の恩師は「ぼくはね…」と、いつも自分のことを面白おかしく話してくれましたね。それを見てぼくは、早く大人になりたいと思った。自分で人生をつくっていくことは楽しいことだと思っていました。

子どもに生き様を見せていく

藤本 今の子どもたちは、「大人はずるい」「大人にはなりたくない」と言いますよね。

高木 必死に生きてる大人がいませんからね。口先だけの大人を、子どもが信用するわけがありません。「東大に行け」なんて、カニの子どもに「まっすぐ歩け」と言ってるようなもんですよ。

藤本 自分は失敗したから「おまえはこうしろ」と、勘違いを押し付けたり…。

高木 かっこいいこと言ってもダメですよ。アザラシだってシロクマだって、命がけで子どもを守り、死んでいく。生き様を見せなければ、子どもには何も伝わりません。

藤本 我々が子どもに、「生きる姿」をどう伝えているかですね。

高木 今の世の中、大人がいかに自分のためだけに生きているかですよね。たとえば公共の場所でタバコを吸う喜び、寝静まった住宅街で爆音を立てるオートバイは本当の喜びではありません。同じように、自分だけが豊かになったり、自分だけの利益のために地球環境を破壊することも、絶対にしてはならないことだと思います。

藤本 人間の「もっとよくなりたい」という意識も変えなければなりませんか。

みんなの幸せこそが、自分の幸せ

高木 「みんなの幸せが、本当に自分にとっての幸せか?」とぼくもさんざん迷い、考え、苦しみまし高木善之さんとの対談写真 その3た。でも心は決まりました。「たった一度の人生、自由に生きよう」と。

藤本 本当の「自由」とは?

高木 競争の生き方をやめること。本当の幸せとは、「人よりも」ではなく「人と共に」、「自分だけ」ではなく「みんなで」、「今だけ」ではなく「いつまでも」、「ここだけ」ではなく「どこまでも」です。

藤本 グリーンコンシューマの理念にも通じていますね。

高木 ええ。環境意識を持てば当然、「お金」よりも「命」、「経済」よりも「環境」、「目先」よりも「未来」、「ビジネス」よりも「子どもたち」が優先されます。

藤本 簡単なようで、とても難しいですね。

高木 それは我々が日本に生まれ、そういう教育を受けてしまったからですよ。先日、地球村のメンバーを連れてデンマークに行ってきましたが、日本とのあまりの違いに、メンバーは目を丸くしていましたね。

藤本 環境先進国としても有名ですね。

高木 日本の税金は10%ですが、デンマークは約50%、しかも消費税は25%もかかります。「働いたって残らない」と思うでしょ。

藤本 税金が何に使われるかが問題ですね。

高木 デンマークの生活保障は完璧です。教育に医療、福祉も失業手当も万全です。「働かずに生活が保障されるのなら働かない」では生きる充足は得られません。でも、生活の安定があるから人々は不安もないし、争いもない、ストレスもない社会です。

藤本 それは理想ですが、日本がそうなる可能性はあるのでしょうか。 

高木 30年は自分のため、残りの30年は人のため。ノーリスク、ハイリターンと考えれば無理はないでしょう。自分のためではなく、社会のためと教育されています。

藤本 生活にはどう反映されていますか。

高木 まちでは、電車に乗っても駅の改札がありません。自己申告制なんですよ。 

藤本 日本では考えられませんね。

高木 ヨーロッパでは小さいうちから子どもの自尊心を育てますから、一人ひとりが自覚と責任を持っています。つまり、「信頼に足る人間」という意味です。

藤本 法律で規制されているから、人が見ているからと、自制する日本とは違います。

高木 互いに信用できないから監視するシステムが出来上がっている日本では、大きな変革が必要でしょう。たとえばヨーロッパでは現実に、脱原発、脱クルマ、脱農薬、ゼロエミッション(ゴミゼロ)(※)といった大きな社会変化が起きています。

※ゼロミッション/廃棄物よ廃熱として捨てられているものを活動して、無駄に燃やされたり、埋められたりしないようにすること。

藤本 経済を優先し、便利さや快適さだけを追求すると、大きなマイナスがあるということを日本は見落としてしまっています。

高木 目をそらさずにしっかり現実を見つめてほしいと講演で話しています。ぼくが広げたいのは「環境のこと(事実)をもっと知ろう、できることをしよう、広めよう」というグリーンコンシューマの輪です。

無限の力を持っている子どもたち

藤本 地球村のメンバーは、現在どのくらいいらっしゃるんですか。

高木 全国に支部があり、会員数は12万5000人。それぞれに「幸せな社会の実現」を目指して活動しています。

藤本 環境についての知識がなくても、活動していなくても、メンバーになれますか。

高木 そのためのネットワークです。定期的に情報が発信されますが、難しいことではなく、ほんの少し意識を変えるだけで、世の中が大きく変わります。みんなの力で企業が変わり、商品が変わり、法律や政治が変わるのです。

藤本 極端な話、父親や母親が変われば、今日からでも子どもは変わるでしょう。

高木 わが家がいい例です。娘が小学校に上がったときのことです。母親は昔自分が使っていた皮製の筆箱を娘に使わせていたのですが、それがある日、クラスで話題になったのです。「お前の筆箱古いなぁ」と男の子がはやし立てると、娘は言ったそうです。「ねっ、いいでしょ。これお母さんが子どものときから使っていたものなんだって。だから私も大事に使って、子どもにこれをあげるの」。周りの子どもはシーンとなり、しばらくして男の子たちは「ふーん、ええな」と言ったそうです。

藤本 日常にありがちな話ですね。先生が娘さんを「かわいそうな子」扱いする前に、事が済んでよかったですね。

高木 いじめ問題も、親や先生など大人の見方や考え方が子どもたちに大きく反映していることを、大人は反省しなければなりません。いじめは、社会全体の問題ですよ。

藤本 我々大人は、常に子どもから学ばせてもらっているんですね。

高木 つくづく思いますが、子どもたちにとって一番大切なのは、いきいきと生きていくこと。子どもは高木善之さんとの対談写真 その4もともと無限の力を持っていて、周りから必要な情報を得て学びながら生きていく能力があるのです。

藤本 一番身近な情報源であり、手本となるのは私たちなんですね。

高木 子どもには差別も偏見もありません。あとは、我々大人が言葉ではなく、どう態度で示していけるかです。

藤本 今日は私もひとりの親として、人間として学ぶところがたくさんありました。『ビーボラビータ』では、これから取り組んでいくべき課題をいただきましたので、みんなで考えていきたいと思います。どうもありがとうございました。

バックナンバーの一覧へ戻る

ページのTOPにもどる
老若男女響学「お母さん大学」プロジェクトはこちら
お母さん大学メルマガ藤本でこぼこ通信 登録はこちらから
『百万母力』はこちらから
『百万母力』はこちらから
『百万母力』はこちらから
『百万母力』はこちらから
ブンナプロジェクトはこちらから
池川 明先生のDVD「胎内記憶」&本のご購入はこちらから
 
株式会社トランタンネットワーク新聞社 〒221-0055 神奈川県横浜市神奈川区大野町1-8-406