藤本 スポーツ愛好家でいらっしゃるとか。
木村 ええ。いまだに野球にゴルフにスキー…。スポーツは楽しいですよ。とくに、会社の人間関係づくりには持ってこいだ。
藤本 たくさんのスポーツ選手を育てていらっしゃるんですよね。
木村 会社には、今、約100人の選手がいるかなあ。ぼくは、会社の宣伝とは考えていないからね。みんなは仲間を一生懸命応援するし、共通の話題を持つ。いい選手を社員が誇りにする。ものすごいプラスでしょ。それでいい。
藤本 卓球の愛ちゃん(福原愛)とか、柔道の野村忠宏選手…。オリンピックにもたくさん出場されていますよね。
木村 メジャーなスポーツではなく、マイナーなスポーツをやっている人にチャンスを与えたい。基本は「子どもたちに夢を持ってもらいたい」という思いです。ミキハウスは利益を追及する企業ではなく、社会貢献に力を入れています。子どもたちの健やかな育成は、一番の目的といえるでしょう。八尾市東山本でやっている「柔道教室」もそのひとつ。子どもたちには厳しく指導していますので、柔道を通して、礼儀正しく、社会性を身につけた子どもたちが元気に育っています。野村選手がオリンピックで金メダルを獲得したことで、子どもたちはますます夢をふくらませています。
藤本 スポーツ選手は、子どもたちの憧れです。
木村 この『ビーボラビータ』も「夢」がキーワード。「ビーボラビータ」は自分らしく生きるという意味ですが、子育てに関わる人々が夢を描いて生きていくことこそが、いい子育てに通じる。だから私も「子育ては大変と嘆く前に夢を描こうよ」と母親たちに言っているんです。
藤本 この『ビーボラビータ』も「夢」がキーワード。「ビーボラビータ」は自分らしく生きるという意味ですが、子育てに関わる人々が夢を描いて生きていくことこそが、いい子育てに通じる。だから私も「子育ては大変と嘆く前に夢を描こうよ」と母親たちに言っているんです。
木村 そりゃあそうだ。誰だって、夢に向かってがんばることが大切です。
藤本 自転車で世界一周をした坂本達さん(※)は有名ですね。
※坂本達さん/1968年生まれ。33歳。4年3か月の有給休暇を社長に直訴し、自転車で世界一周の夢を実現。各地で写真展や講演活動を展開。自身で書いた体験記『やった。』は、三起商行から好評発売中。
木村 彼はたまたま人事部だったからぼくの近くにいて、始終「行きたい行きたい」と言っていた。まあ黙って見ていたら、3年間かけて、30社のスポンサーを集めて来た。「ぼくはこうこうしたいので応援してください」と各企業を回って、自転車のメーカーさんなんかも話に乗ってくれている。あとは社長がOKをくれればいいだけだというから仕方ない。それでぼくも大使館やらで世界の治安なんかをいろいろ調べ、こう言った。「5年間の有給休暇で行ってこい。でも絶対に無理はするな。こことここは危険だから、そこは行ってはダメだぞ」と。
藤本 世間の一般常識では「それなら会社を辞めてくれ」となりますよね。
木村 それは全く考えなかった。ただ、スポンサーに期待されてしまったら、どんな危険を冒すかも知れない。経済的な裏づけなくしてはとてもできないでしょう。彼のご家族のこともあります。何かあったらどんなに恨まれてしまうか。ひとり出すって結構大変なんですよ。
藤本 目に見えないご苦労があるんですね。
木村 他人は「有給なんか、よく出しましたね」なんて気楽に言いますが、「無事に帰ってくれ」と心から願っていましたよ。
藤本 それでも夢を応援する。
木村 夢を持っている人間はパワーが違います。大変な経験や苦労が人をつくるから、すごい奴になって帰ってきます。だから、子どもにも夢を持たせてあげなければいけない。
藤本 今は、夢を持たない子どもが多いですね。
木村 学校や家庭。教育は「環境」がすべてといってもいいでしょう。環境が悪くては始まらない。フランス、イギリス、カナダ…、海外では夫婦で出張は当たり前です。国の子育て制度が違います。日本も道路や施設にお金をかけるなら、結婚したら5LDKの家に住ませるとか、ベビーシッター制度を充実させるとかをしないとダメだ。大人たちは、子どもの成長を楽しみながらビジョンを持って生きていかないと。