スペシャル対談 藤本裕子が各界トップに迫る!

スペシャル対談 藤本裕子が各界トップに迫る!

地域のため、みんなのため自分自身の学びのためにも

横浜市高齢者福祉大学の副運営委員長をはじめ、たすけあいグループ「ゆりの会」の代表など地域の要職をいくつもこなす宮田貞夫さん。今回は、横浜市障害者地域作業所運営委員長として関わる、讃岐うどん「なかだや」におじゃまして、地域活動の極意、健康の秘訣などを伺った。

 

地域活動家 宮田貞夫さん
みやた さだお  1934年横浜市生まれ。1953年毎日新聞社入社。定年後、株式会社モリサワに入社。現在は泉区レクリエーション協会、葛野コミュニティハウス市民図書部長、泉区歴史の会『郷土いずみ』編集長、横浜市高齢者福祉大学特別講座副運営委員長、たすけあいグループ「ゆりの会」代表、横浜市障害者地域作業所「なかだ」運営委員長、いきいき健康づくり「ウエルネス泉」相談役、中田地区社会福祉協議会『福祉なかだ』編集長、介護を考える会「アイリス泉」副会長など要職を兼務。ヘルパー2級。横浜市介護相談員。生涯学習インストラクター1級「まなびの達人 あそびの達人」の称号を得て活躍。

●讃岐うどん「なかだや」 TEL045-802-5112
横浜市泉区和泉長4424-1 (長後街道沿い)

シニアの知恵と技術を
地域の中で生かしてほしい。
きっと楽しい時間が待っています。

藤本 今、美味しいおうどんをいただきましたが、こちらのお店は、横浜市の障害者地域作業所として運営されているそうですね。宮田貞夫さんとの対談写真 その1

宮田 もともと私が地域の自治会長をしていた関係で、作業所の運営委員長になったのが15年前のことです。作業所では主に自動車や電気部品の組み立てなどを請け負っていますが、たまたまスタッフの中に和食料理店のキャリアを持つ人がいて、「作業所でも飲食店ができないだろうか」という話になったのです。 

藤本 うどんやさんは珍しいですね 

宮田 喫茶店やパンをつくる作業所はありますが、うどんやというのは、横浜市でも初めてです。営業時間が限られるので、実際に商売としてやっていくのは大変だと思います。さまざまな問題もありますが、みんなの気持ちがひとつになったので、「よし、それならやってみよう!」と。

藤本 先ほどから皆さん、笑顔で接客されていましたね。福祉のことはあまり詳しくありませんが、障害者の皆さんも、こうして社会の中で人々とふれあいながら生きていくということが、大きいのでしょうね。 

宮田 そうです。うどんやといっても、うどんをつくることだけが仕事ではありません。たとえばこの壁のお品書きも障害者のひとりが書いたものですが、なかなかいいでしょ。 

藤本 先ほどから「味のある素敵な文字だな」と思って見ていたんです。

宮田 毎年、泉区の福祉作品展に絵画や書を出展しているんですが、中に個性的で面白い文字を書く子がいて、「どう、やってみる?」と言うと、喜んで書きました。

藤本 それぞれの個性を見出し、社会にどう生かしていくかというのが、本当の福祉なのかもしれませんね。

宮田 受け皿的な考え方ではお互いに発展していきません。

藤本 それはシニアも同じですね。会社や仕事をリタイアしたあとの年金問題よりもその方たちの力をどう生かすかが、先だと思います。

宮田 介護保険法ができたとき、ヘルパー2級の資格を取ったのですが、一緒に受講した5人の仲間で「せっかく資格を取ったんだから、何かやろう」と立ち上げたのが、たすけあいグループ「ゆりの会」です。最初は「介護保険では手の届かないサービスを」とうたって始めたのですが、実際にはさまざまなニーズが出てきました。草取りや庭木の手入れ、ペンキ塗り、日曜大工…。

藤本 日常の困り事を解決する便利屋さんですね。

宮田 そう。それまでお礼にいただいていたビール券や田舎から送られてくるりんごの代わりに、「有償」にさせていただいたのです。

藤本 ビール券もりんごも、結局は双方が気を遣うんですよね。

宮田 スタート時、5人だったメンバーは、5年で23人になりました。すごいのは、活動に刺激され、各自がヘルパーの資格を取ったり、NHKの講座を受けたりで、介護も植木の剪定もセミプロのレベルなんです。

藤本 お金をいただくことでサービスの質が上がり、なおかつそこに使命感があるのだから最高ですね。

宮田 あるとき「寝たきりの妻を花見に連れていきたい」という依頼がありました。車いすを押してお花見に行った帰り道、ご主人が「ここのスーパーに毎日通っていたんです」というので、一緒にスーパーの売り場を一周したんです。

藤本 主婦にとってはなじみのある場所です。ご本人も、ご主人もうれしかったでしょうね。

宮田 とても喜ばれました。当時を知っている店の人も声をかけてくれたりして、私も感動しました。また、庭木を切ると20袋ものゴミが出ます。でも、業者の仕事はそこで終わり。私たちは、収集日の早朝にゴミ捨てまでするんです。

藤本 そこがビジネスとは違う奉仕の心なんでしょうね。

宮田 最近は「中高年になって時間はある。何をしようか?」という人がたくさんいます。グループに入会し、「人助けになり、お金までいただける。有意義な時間が過ごせて、楽しい」と言ってくれるんです。宮田貞夫さんとの対談写真 その2

藤本 団塊シニアの「残りの時間をどう使うか」が話題になっていますが、地域デビューのきっかけとしてもわかりやすくていいのでしょうね。

宮田 地域でシニアたちがいきいきと活躍できる場はまだまだたくさんあります。私は泉区社会福祉協議会の「男性ボランティア連絡会」で企画をしたり、サークル活動を紹介したりしています。「泉区レクリエーション協会」では会計監査をしていますが、毎月ウォーキングを実施しています。そのほか「いきいき健康づくり」をテーマに活動するサークル「ウエルネス泉」の相談役などもしています。

藤本 今は行政のバックアップもあって、趣味のサークルやNPO、ボランティアグループなど組織や活動は多様化しています。でも継続させていくのはなかなか難しいようですね。

宮田 「ウエルネス泉」は健康をテーマに講演会を開いたり、バスハイクを実施したりと精力的に活動するグループですが、「約100人の会員がいるが、運営していくのが大変」という。そこで行政や民間の助成金制度を活用したり、講師を紹介したりして、少しでも活動を安定させるために、アドバイスをさせてもらっています。

藤本 宮田さんのような経験者の知恵が必要なんですね。それにしても宮田さんが、このような地域活動を始められたのはいつ頃からですか。

宮田 サラリーマン時代からすでにいろいろやっていたので、かれこれ40年になります。

藤本 もともとは新聞社にお勤めだったそうですね。

宮田 新聞社にはたくさんの部署があります。私は印刷から入って編集、調査といろんな部署を経験しました。書くことも好きでしたし、デザインや写真も学びましたので、それらがすべて今の活動に生きています。

藤本 先ほど拝見した新聞や小冊子も、なるほど、そのキャリアを生かされてのことですね。

宮田 「泉区歴史の会」でつくっている『郷土いずみ』は、歴史の好きな連中が集まって年に1回発行。間もなく13号が出ます。中田地区社会福祉協議会で発行している『福祉なかだ』や、たすけあいグループ「ゆりの会」の新聞などもつくっています。

藤本 宮田さんは情報発信の意味を熟知し、制作のノウハウをお持ちだから簡単にそうおっしゃいますが、普通はなかなかできないことです。

介護者同士が情報交換をして
「大変なのは自分だけではない」と
気づくことが大切です

宮田 それから、介護を考える会「アイリス泉」というのがありまして、10年前に保健所が、孤独になりがちな介護者を集めた会でした。当時、定年を機に母を引き取った私が、妻と交替で母の面倒を見ていたんです。最初は一参加者として顔を出していましたが、このときから介護、福祉を真剣に考えるようになりました。

藤本 介護をしているご家族の方のための会なのですね。

宮田 認知症や身体障害などの病人を抱えている人が情報交換をしたり、グチをこぼしてストレスを発散したり。被害者意識を持ってしまいがちな介護者が、「自分だけではない」と気づくことだけでも救いです。宮田貞夫さんとの対談写真 その3

藤本 今号のヴィサン誌では「認知症」を特集していますが、ご家族の大変さは相当のようですね。

宮田 母も認知症でした。亡くなったあとも「アイリス泉」に在籍し、悩み事の相談を受けたり、バーベキューなどのイベントもやりながら、楽しく会報誌をつくっています。

藤本 媒体があることが、会の活性化にもつながるのでしょう。そのあたりも、活動が長く続いている理由のひとつなのかもしれませんね。

宮田 必要に迫られてつくっている会報もあれば、好きで書いている同人誌もあります。私個人では、いろいろ投稿などもしています。

藤本 エリザベス・サンダースホームを創立した澤田美喜さんを描いた本が出版されたと伺いましたが。

宮田 モラロジー研究所主催の「歴史に学ぼう、先人に学ぼう」という企画に公募したところ、私の作品が入選し、一編として紹介されたのです。

藤本 忙しい宮田さんですが、一体いつ原稿をお書きになるんですか。

宮田 ハハハ。調べるのはお手の物。時間はつくるものです。

藤本 趣味も多彩だそうですね。

若さの秘訣はチャレンジ精神。
これからも「書くこと」や
「歌うこと」に挑戦し続けます。

宮田 通信教育も趣味のようなもので、レタリング、スタイル画、似顔絵、書道…といろんなものをやりました。そのひとつに財団法人社会通信教育協会が認定する「生涯学習インストラクター」(全国2万5000人)というのがあり、さらにその中で300人の「まなびの達人 あそびの達人」というのに選ばれました。日本けん玉協会にも所属し、毎年行われる小学校の「葛野フェスティバル」では、子どもたちに日本の伝承遊びを教えています。

藤本 こんな時代ですから「子育て」は大きなテーマですね。シニアの力が、そのまま「地域力」になるのだと思います。宮田貞夫さんとの対談写真 その4

宮田 流れのままに今があるので、「地域のため」とか「誰かのため」という特別な意識はあまりありません。言ってみれば、どれも自分自身の学びの延長みたいなものですね。

藤本 そう言いきるところが宮田さんの素晴らしいところです。最後になりますが、健康のためにしていることがあれば教えてください。

宮田 暴飲暴食はしないこと。そして、続けて6年になりますが、毎朝6時半に地域の人たちと公園に集まり、ラジオ体操をしています。

藤本 規則正しい生活。気心知れた人と顔を合わせることも大切ですね。

宮田 心の健康という意味では、チャレンジ精神が一番。投稿のほかに、昨年からコーラスを始めました。「しらゆりコーラス」というグループに入っていますが、すごく楽しいです。30人の女性に混じって男性はわずかに3人。みなとみらいホールのステージに立ったときは感動でしたね。

藤本 素敵なご趣味ですね。宮田さんは、人に頼まれたらノーと言えないタイプ。困っている人を見たら放っておけないし、根っからサービス精神をお持ちなのでしょうね。加えて、好奇心と向学心に満ちあふれていらっしゃる。

宮田 チャレンジに年齢は関係ありません。皆さんも積極的に新しい世界の扉を開いてほしいと思います。

藤本 ますます広がる宮田さんの活動ですが、これからもずっとお元気でご活躍ください。今日は有意義なお話をありがとうございました。

対談を終えて

仕事でいろいろな方にお会いする機会があるが、これほど地域に根づいた活動を継続し、数こなさされている方はなかなかいない。
そしてまた、活動をしながら媒体をつくり、発信し、交流するという、新聞社時代に培ったキャリアを上手に生かされている点も見逃せない。
ネットワークすることや活動を活性化させること、何より継続していくことの難しさに悩みを抱えているグループは少なくないが、宮田さんのような企画力、行動力に学ぶことは多い。
「サラリーマン時代の経験すべてが今に生きている」とおっしゃる宮田さん。セカンドステージを地域に移すシニアのライフスタイルの手本ともいえるだろう。
「若くある秘訣は好奇心とチャレンジ精神」というが、昨年入選された「澤田美喜の生涯」に続き、今年も「樋口一葉」で入選されたそう。これも日々の向学心、研究、努力の賜物だろう。本の完成が待ち遠しい。おめでとうございます。

(藤本裕子)

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