スペシャル対談 藤本裕子が各界トップに迫る!

スペシャル対談 藤本裕子が各界トップに迫る!

水泳やお料理をしながら楽しくしゃべっているだけよ スイミングインストラクター 金澤直子さん

マタニティスイミングインストラクターの草分けとして、長く活動を続ける金澤直子さん。栄養士の資格を生かしたお総菜を披露しつつ、核家族化で孤立しがちな妊婦たちを結びつける「昼食会」、妊婦と夫がカップルで参加する「ペアスイミング」、マタニティスイミング卒業生親子が集う「カンガルークラブ」など、独自の活動を展開。迷える現代の新米妊婦、新米お母さんたちを救う、等身大のアドバイスには定評がある。ズバリ、健康の秘訣に迫った!平野洋子さん著『梅一夜』 写真

 

スイミングインストラクター 金澤直子さん
かなざわ なおこ  1935年生まれ、横浜市在住。財団法人日本体育協会公認水泳上級教師。栄養士、調理師、衛生管理者の資格を持ち、妊婦やベビーの水泳指導を行う。東京アスレチッククラブ講師ほか、「妊娠出産学校」(ベニカム主催)の講師を務める。早稲田大学エクステンション、東洋英和学院大学生涯学習に学び、声楽レッスンを受け、「作曲家・中村守孝の歌を歌う会」で楽しむなど多忙な日々。著書に『ヤンババの出産・子育て知恵袋』(築地書館刊)がある。

元気のコツは続けること。
妊婦向けのお惣菜づくりは23年間になるかしら

藤本 スイミングインストラクターをなさってどの位になりますか。金澤直子さんとの対談写真 その1

金澤 長男が小学校5年生のときに通っていたスイミングスクールで、自分も泳ぎたくなってスイミングを始めたの。教えてもらううちに、水泳指導の面白さに目覚めたんです。

藤本 水泳指導の面白さ?

金澤 初め、大学生に教えてもらっていたときは泳げなかったのに、ある先生に代わった途端に泳げるようになったんです。要はその先生を信じただけのこと。信じて言う通りにしたらすぐにできるようになって。そうか、これは技術ではなく、相手とどう信頼関係をつくり、どう乗せるかだなって。1973年のことです。

藤本 妊婦やベビーのご専門になられたのは?

金澤 3年後にベビースイミングを始め、その翌年マタニティスイミングを始めました。たまたま幼稚園の団体授業があって、母親だから子どもの扱いに慣れているだろうって、アシスタントの声がかかったんです。

藤本 当時、マタニティスイミングは、珍しかったのではないですか。

金澤 妊婦水泳自体なかった時代。もともと海外にはないものなので、日本初というか、世界初のことです。

藤本 今は水泳という枠に納まらず、さまざまな形で妊婦さんやお母さんたちを応援していらっしゃいますね。

金澤 何かをやろうと意気込んで始めたものなんてひとつもないんです。もともと栄養士の資格を持っていてお料理が大好きだったの。妊婦さんに接していたら、ちゃんと栄養もとらなければならないのに、ちっともできていなかった。「少しでも体にいいものを」とつくっていくようになったのが「昼食会」に発展したんです。

藤本 今日もそうですが、素晴らしいごちそうを用意してくださって。大変でしたでしょう?

金澤 こんなのすぐよ。昨日の夜、レバーを串に刺しただけで、あとは冷蔵庫に残っていたものを何でもかんでも入れてきちゃっただけなのよ。

藤本 どれも体にいいものばかり。とても美味しいです。

金澤 今日はカメラマンやスタッフもいらっしゃるというんで、それじゃあって。外へ食べに行く時間が惜しいでしょ。有り合わせのものでもこんな風にしてみんなで食べれば、楽しいじゃない?

藤本 ええ、それはもう。こうやって普段から、妊婦さんたちと交流なさっているんですよね。

金澤 「一宿一飯の恩義」「同じ釜の飯を食う」といって、一緒に食べるという行為は大きいわね。言えないことも言える間柄になれるのよ。

藤本 スイミングのコーチというより「お母さん」みたいに、何でも相談に乗っていらっしゃるそうですね。

金澤 妊婦さんもお母さんたちも、ちょっとしたことで不安になったり落ち込んだり。昔ならおばあちゃんや、隣近所のおばちゃんが教えてくれたようなことばかりです。

藤本 家族とも離れ、近所づきあいも少ない孤独な妊婦さんたちにとって、地域で妊婦さん同士友だちになれる機会というのは大きいですね。

金澤 ほかにも、夫と一緒に参加できる「ペアスイミング」や、マタニティスイミングを卒業した親子が集まる「カンガルークラブ」など、いろいろな会を続けています。こんなこと普通の主婦なら誰でもできることで、もともと「おせっかい」なのね。金澤直子さんとの対談写真 その2

藤本 地域のボランティア活動もそうですが、ちょっとしたことでできることはたくさんあるんですね。

金澤 私が人と違うところといえば、長く「続けている」ことだけ。水泳指導33年、ペアスイミング23年、妊婦昼食会23年、発声練習のために始めた声楽25年、カンガルークラブ20年。

藤本 私は今の活動というか、仕事を続けて17年。金澤さんに比べたらまだまだですが、正直、大変でした。簡単におっしゃいますが、続けることの努力は半端ではないでしょう。本当に素晴らしいことだと思います。

金澤 お母さんたちに喜んでもらいたいのが一番だけど、私も楽しいのよ。私の師でもある高田敏子さんの詩にあるんだけど「心にひとり 思う人を住まわせて 花を摘む」って。料理でも何でもそうでしょ。

藤本 気持ちがなければできないことですよね。

金澤 もともと黙って見ていられない性分でしょう。言わなきゃいいことも言っちゃうし、やっちゃうのね。

藤本 それが大切なんです。子どもたちは、家でも学校でも大事にされ過ぎです。地域には「雷おやじ」も「おせっかいおばさん」もいなくなっちゃって、誰からも注意もされないという現状。これが社会の問題です。

60歳を過ぎたら、社会に
お返ししなきゃバチが当たるわ

金澤 60、70(歳)で「主人がどう、家族がどう」って愚痴ってばかりいるから、「そんな暇があるなら、誰かのためにできることをしなさい」って。誰だって布で何かつくるとかお習字するとか、できることの1つや2つあるでしょ。若いお母さんの話を聞いてあげるだけでもいいじゃない。

藤本 今は元気なシニアの方が多く、それぞれに自分の時間を楽しんでいらっしゃいますが、なかなか人のためっていうのは難しいんでしょうね。

金澤 できない言い訳はたくさんあるけど、心配ばかりして勇気がないの。だから「『でも』と『だって』はご法度。考えてなんかいないで、さっさとやりましょう」って言うのよ。

藤本 その心意気です。

金澤 私だって71歳だから正直くたびれるのよ。でも待っていてくれる人がいるっていうのは大きいわね。年寄りが元気でいるには「自分がいなきゃ始まらないっていう場所」をつくることね。私じゃなきゃだめだなんて、こんなうれしいことはないじゃない。

藤本 いろいろな相談を受けていらっしゃるから、責任もありますよね。

金澤 妊娠や子育ての専門家に教わることもありますが、若いお母さんたちに学ぶことも多いですね。今の人がどんなことを考えて何を望んでいるかを知ることも大事。私のおせっかいが嫌われないのは、そういう日々の生活の中で、お母さんたちの「してほしいことと、してほしくないこと」の気持ちがわかるからなのよ。一言いうにしても難しいでしょ。

藤本 お母さん同士のおつきあいでも、コミュニケーションが上手にとれなくて、かえってストレスになってしまうことがあるんです。

金澤 いっぱいいっぱいのお母さんが多いから、気持ちを楽にしてあげることも大事。それができるのが、ジジババじゃないかしら。

藤本 子どもたちにとっても、ジジババの存在は大きいですね。

金澤 「おこづかいをあげるからおいで」なんて孫に言う人が多いけれど、勘違いしてるわね。ゆとりのないお父さん、お母さんに代わってできるのは、たとえば音楽会や展覧会に連れていくとか。お金と時間があるんだから、子どもに「いいもの」を見せてあげる機会をつくることが大事。それから、たくさんの人に会わせること。世の中にはいろんな人がいるというのを小さい頃から教えなきゃ。

藤本 金澤さんのようなおばあちゃまだったらいいですね。

金澤 最近すごくうれしいことがあったの。私自身、描いてもいなかった夢を、孫娘が叶えてくれたんです。

藤本 どんな夢ですか。

金澤 「おばあちゃんみたいに栄養学を勉強したい」って、そっちの大学に入ったの。私も息子夫婦も、孫に強要したことはないんですよ。

藤本 やっぱり、子どもは黙って親や祖父母を見てるんですね。金澤直子さんとの対談写真 その3

金澤 大学に入ってからは、時々質問をしてきて、私が答えると「おばあちゃん、衰えていないね」って(笑)。

藤本 ご自身はどんな子育てをなさったんですか。

金澤 「最大の関心を持って突き放すこと」。曽野綾子さんのこの言葉に出会ってから変わりましたね。息子たちが思春期に入ろうというときで、タイムリーでした。その通りにしてきましたから、高校受験のときでさえ、子どもの偏差値も全く知らないような親でした。幸い、わが家は夫がおさえるところはおさえてくれていましたから、その点はありがたいんですが。

藤本 ご主人とは、とても仲が良いそうですね。

金澤 「亭主の悪口」ばかりの人が多いけれど、縁あって一緒にいるんだから、「何のために生きてるの?」と聞かれて、夫のため、妻のためって答えられなかったらさみしいじゃない。

藤本 なかなかそんなご夫婦はいらっしゃいませんよ。

金澤 夫を見ていると「いい歳をとってるなあ」って思うのよ。会社人間が、会社を辞めた途端にガラリと人生を変えたの。映像技術が専門だから、地域の盆踊りを手伝っては、「こんな設備じゃだめだ」と自費で機器を揃えて、音響係を買って出たり。

藤本 キャリアを地域で生かせているなんて、理想的ですね。皆さんそれができなくて、お父さんたち、居場所がなくて困っているんです。

金澤 好きな自転車も続けていて、ツーリングの本まで書いているのよ。

藤本 自分を生かし、楽しめる方でよかったですね。

いよいよできなくなるまで
続けたいから、生涯勉強ね

金澤 人のためなんていって、結局みんな自分のためなんですもんね。そういえば彼が、結婚するときに「これからは、思ったことを徹底的に『人間として』やる」って言ったのよ。

藤本 なんかすごい言葉ですね。

金澤 それまで私は、のほほんと育ってきていたの。家は商売をやっていて、経済的、環境的には恵まれていて、何でも用意されているような人生だったわけ。だから、それはものすごいカルチャーショックでした。

藤本 自分で自分の人生を生きる、ということですね。

金澤 一度きりでしょ。とにかく悔いない人生を送りたい。いよいよできなくなるまで現役を続けたいわね。

藤本 そのためには、どんなことに気をつけていらっしゃいますか。

金澤 きちんと睡眠をとることが一番。だから、つまらないことは考えない。私が考えたって翌朝の陽の昇り方は変わらないでしょ。どうしても眠れないときは、眠くなるまで台所に立って1品でも2品でもつくるのよ。

藤本 健康の秘訣ですが、ほかにもあったら教えてください。

金澤 次は快食ね。どこへ行くんでもお弁当をつくって出かけるようにしています。それから快便。便秘は思考も停滞しますから、そうならないために快食を心がけています。定説ですが、「転ぶな、風邪ひくな、義理を欠け」も肝に銘じています。

藤本 「やるべきこと」があるというのは大きいですね。講演や執筆活動もなさっていますよね。

金澤 人前で話したり、文章を書いたりするのは責任もあるし、緊張もあります。オープンカレッジでテーマを持って勉強をしているのもそのためですし、人にものを教えるならなおさら、生涯勉強です。

藤本 毎日、お忙しいでしょう?金澤直子さんとの対談写真 その

金澤 私はマスコミのいうことを鵜呑みにせず、自分の足で世の中を判断していますので、時間がかかります。人と会えばお礼状も書きたい。でも時間がないから、ハガキの宛名を自宅で書いて持って出るんです。もっぱら東横線が私の書斎。「揺れる車中にて失礼します」って。これなら字の乱れも、文章が変でも言い訳できます(笑)。

藤本 それは名案ですね。それにしても金澤さんのように、裏表なく、自然体で人に接していけたらいいですね。そんな生き方を見習いたいと思います。今日は楽しいお話をありがとうございました。これからもますますご活躍ください。

対談を終えて

週の予定を伺ったら半日も休みがない! あまりの忙しさにお身体を心配すると、「その心配は無用。目指すは『身忙心閑』」と。忙しい中でのやりくりの達人。朝起きて寝床の中で体操をしながら献立を考えるそう。「美味しいと食べてくれる人がいるからつくれるのよ」といとも簡単におっしゃるが、この日も豚のレバー串焼に、20品目の食材が入ったサラダ寿司、根菜がたっぷり入った筑前煮と、どれも美容と健康によさそうなメニューが美しく並べられた。それだけではない。決め手はやはり「愛情スパイス」。今朝お庭で摘んだというハーブの花束も、食卓に香りと彩りを添えた。
対談のあとでいただいたお便りには、「お話し過ぎて肝心なことが抜けちゃったわ」とあり、改めて「やる気が出る秘訣」をご伝授くださった。最後にご紹介します。
 立つ(腰を軽く)
 力(力を出して重い荷物を持つ)
 つかむ(チャンスと人の心を)
 手を動かす(得意なことでよい)
 ときめく(追っかけ歓迎。道楽を

(藤本裕子)

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