自然なお産を追求する産婦人科医 池川 明さん
たくさんのメッセージを持って生まれてくる赤ちゃん
驚くべき「胎内記憶」
「胎内記憶」という言葉をご存知ですか?
「おなかの中にいたとき、パパとママの声が聞こえたよ」
「ママが『痛いっ!』って言ってかわいそうだから、あんまり動かなかったの」
 お母さんのおなかの中にいたときの様子を、子どもたちはこんな風に語ります。
 金沢区大道の産婦人科「池川クリニック」を開業する池川明先生の発表(2000年調査)によると、2歳〜7歳の子ども79人のうち、胎内記憶がある子どもは53%、出産記憶がある子どもは41%と、予想を上回る結果が出ました。
 おなかの中の様子や周囲の様子、出産時の様子などを具体的に描写する子どもも多く、「驚きと同時に大変な感動でした」と池川先生。
「赤ちゃんが生まれたときのことを覚えているのなら、赤ちゃんをモノではなくひとりの人間として考えること、大人の価値観で考える『お産』ではなく、赤ちゃんの立場でよりやさしい環境を整える必要があるのでは」とつづられる著書『おなかの中から始める子育て』は、これから新しい家族として赤ちゃんを迎えようとしているプレママ、プレパパばかりでなく、子育てに関わるすべての人に大きな「気づき」を与えてくれます。
 赤ちゃんから子ども、子どもから大人へと自立していく過程で「一番大切なのは親の愛情」。子育ては、親が教えることではなく、「心を添わせ、共感する能力を高めていくこと」と、ハッとする言葉に出会えます。

できるだけ「自然なお産」を
 「赤ちゃんはさまざまなメッセージを持って生まれてくる」という池川理論は、時には障害を持った赤ちゃんや死産、流産をも受け止める寛容なものです。
「たとえどんなお産でも、赤ちゃんが必ず元気で生まれてくる保証はありませんし、どんなに赤ちゃんが欲しくても授からない人たちもいます。それはまだ、時期ではないのかも知れないし、赤ちゃんがこないということを通してその人たちが何かを体験する必要があるのかも知れません。また、別の役目を果たすために、赤ちゃんがいない人生を選んだのかも知れません」
「生」を、あくまで「自然の流れ」として受け入れる先生は、一般的な正常分娩に関わり、赤ちゃんの心の安全に配慮しています。
 予約制の池川クリニックでは、受け入れられる「お産」は月に10人程度。一人ひとりに十分なケアをし、満足のいくお産をしてもらいたいと、このスタイルを守っています。
笑顔で迎える出産
「妊婦が抱えるストレスを解消するお手伝い」も産婦人科医の大きな仕事という池川先生。
「なるべく薬に頼らず、治ろうという力を引き出す医療を心がけています」
 たとえば心を癒すためのハーブやアロマテラピー、からだのリラックスや整体を考えてリフレクソロジーやヨーガ…。また、「手当て」によって「気」のめぐりをよくする「レイキ」など。いいと思うものはどんどん取り入れています。
 この日は、カラーセラピスト小川千帆先生による「色講習会」が開かれました。参加したプレママたちは久々に手にした絵筆を握り、イメージしながら鮮やかな水彩画を仕上げていきます。
 喜びと不安が交錯するマタニティの時期に、このようなゆとりの時間を持てること、地域に気の合う子育て仲間ができることの意味も大きいでしょう。
 池川先生がこうした活動を積極的に始めたのは3年ほど前。以来、待合室の妊婦たちの顔つきが一変したといいます。
「母親学級」をはじめ、こうした場に参加した人としない人では、産後の1か月健診で明らかな違いが見られるそうです。いわゆる「マタニティ・ブルー」を招かないためにも、よりよい交流や学びの場づくりが大切です。

カンガルー・ケアの重要性
 また、池川クリニックで実践する「カンガルー・ケア」とは、出産直後の赤ちゃんを2時間お母さんのおなかに乗せておくというスキンシップ方法。
「お母さんとじかに触れ合うことで、赤ちゃんは安心する。お母さんのほうも、誰よりも先に赤ちゃんを抱っこして、母と子との最初の時間をゆったり過ごすことは、母性を育む上でも効果が大きいですね」
 心とからだもバランスを整え、ゆとりを持った笑顔の出産が、将来の子どもの幸せにつながると考えます。
 社会ではさまざまな問題が起こり、子育ての意味や家族のあり方が問われています。「お産」は大切な人生の選択です。青少年の問題にもつながるということを理解し、しっかりと考えていきたいものですね。池川先生のあたたかい笑顔に出会ったら、きっとあなたも赤ちゃんを産みたくなりますよ。


池川クリニック  横浜市金沢区大道2-5-13 
TEL 045-786-1122 FAX 045-786-1125
http://www1.doc-net.or.jp/~ikegawa/

『おなかの中から始める子育て』
(池川明著/サンマーク出版/1200税別)
『おぼえているよ。
ママのおなかにいたときのこと』
(池川明著/リヨン社/1000円税別)