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母親たちのウエーブが全国に起こった!
平成3年、横浜市旭区で行方不明になった野村香ちゃんの事件を『月刊 お母さん業界新聞』で緊急特集。子どもを持つ母親であるからこそ感じるものがあると、紙面では母親の思いを記事にした。母親だからこそできること、一般紙ではできないこと、この新聞だからこそできることを発信したい。こうして『月刊 お母さん業界新聞』10月号は「香ちゃんを捜して」をトップ記事に、全国の読者に発信された。通常の5万部を10万部に増刷し、読者以外のネットワークにも配布を依頼。手元に届いたその日から、編集部は騒然とした。電話やFAXで「新聞を配りたい」「協力したい」という連絡が殺到した。連日、徹夜が続いたスタッフの疲れが一気に吹き飛んだ。こんなに早くたくさんの人々がアクションしてくれたことに感謝した。「香ちゃんを捜す」大きなウエーブが日本中に起こっている。
マスコミへのアプローチ
一般の新聞数社から取材依頼があった。この情報をひとりでも多くの人に伝えるためにはマスコミの力が必要だ、と新聞各社にリリース(香ちゃんの記事と掲載依頼書)を送った。その数約50社に上る。しかし思った以上に反応は悪かった。事件発生以来11年間という歳月が経過している。結果、4社からの取材依頼があった。これまでも何度かトランタン新聞社として取材を受けたことがあるが、今回の取材は慎重を期した。マスコミの力は大きい、だが一歩間違えば恐ろしいことになる。ひとりの人間の命がかかっているのだから、言葉一つひとつの重みを感じた。記事には「香ちゃん」の写真を紹介してほしいと頼んだが、実際に掲載されたのは、我々スタッフの写真か、『月刊 お母さん業界新聞』の表紙(香ちゃん)だった。矛盾はあった。それでも効果はあると納得せざるを得なかった。
こうして香ちゃんの情報は神奈川新聞9/29・10/2、東京新聞10/1、読売新聞・朝日新聞10/2に掲載された。だが残念なことに、東京新聞を除いてはどれもが横浜版だった。香ちゃんが横浜にいるとは限らない。何とか全国にこの情報を流したい。その後、共同通信社からも取材を受けた。ここから配信されれば、全国各地の地方紙に掲載される可能性が高いのである。『月刊 お母さん業界新聞』を創刊したとき、共同通信社から全国に配信された経験があるが、その反響たるや、ものすごいものがあった。
横浜の桜木町駅前で5000部配布
10月1日、桜木町の駅前で新聞を配布した。道行く人に新聞が手渡される。「行方不明の香ちゃんを捜してください」「香ちゃんは高校生になっています」「全国で捜しています」大きな声で叫びながら新聞を配った。桜木町駅前はランドマークタワーを中心とする観光地。横浜の人はもちろん、全国からたくさんの観光客がやって来る。連日マスコミが、香ちゃんの事件を取り上げた効果もあり、多くの人が新聞を受け取ってくれた。約2時間で5000部近くを配布した。人々の反応は、さまざまだった。すぐにその場で読んでくれる人、「見つかるといいね」と声をかけてくれる人も多かった。青森県から来たという年配の男性に「青森でも捜してください」と言うと、10部ほど持ち帰ってくれた。外国人にも、どこから来たのですかと尋ね、新聞を渡した。
中年の方は男女とも、比較的反応がよかったが、若いカップルで言えば、女性より男性のほうが好意的だった。中高生は「香ちゃんも高校生なの、一緒に捜してね」と話すと、気持ちよく「はい」と答えてくれた。中には、全く目を合わさないようにする人や、大きく避けていく人もいた。仕方ないとはいえ、胸が苦しかった。子連れのお母さんに、手を横に振られたときは、思わず「お母さんにこそ読んでもらいたいんです」と叫んでしまった。その場に「香ちゃん」という言葉が飛び交った。その響きに、心から奇蹟を祈った。
ウエーブはこうしてして始まった
たくさんの読者から100部、500部とかなりの申し出があった。配布先はサークル活動、学校、商店、公共施設などさまざまだ。まさに母親たちの手配りと口コミによるものだ。あちこちに小さなウエーブが起こっていることに気づいたのは、新聞を配布してくれた読者ご自身だろう。それは、皆さんからのメッセージで一目瞭然。一部だがこの紙面で紹介する。
これまで、記憶のどこかにあった香ちゃんの事件。この新聞をきっかけに「アクション」へとつながった。それは母親だからこそだ。実は、私たちの狙いはここにあった。「よその町の事件」から「他人事ではない事件」へと変わっていった。一歩踏み出してくれた母親たちの思い、それが大切なのである。
神奈川県旭署の捜査本部では、事件発生以来継続して行っている「聞き込み捜査」にこの『月刊 お母さん業界新聞』を持ち込んだという。市民の反応や関心は高く、かなりの反響があると聞いている。「他人事で終わらせないで」という我々のメッセージがどこまで届くかが問題だ。
すでに神奈川県警からは、母親たちがウエーブを起こすことで警察のほうにも新たな動きがあるかも知れないと言われた。多くの人が地域でアンテナを張ることが、情報収集につながる。新潟のような事件もあった。今まで無関心だった地域に目を向ける。一人ひとりの力は小さいが、人々がほんの少しの意識を持ち行動すれば、それが大きな力になるだろう。
先ごろ、地域で起こっているさまざまな事件に、どれだけ多くの子どもたちが巻き込まれているか。私たち大人こそが大切な子どもを守っていかなければならない時代。もう「自分の家族さえ幸せならいい」は通用しない。
横浜の514校の小中高校へ
横浜市の協力を得ることもできた。市の広報課の協力で『月刊 お母さん業界新聞』が18区の区役所へ配送された。個々に対応していたとしたら、説明だけでも相当な時間がかかり、全区に協力を得られたかどうかもわからない。また、横浜市教育委員会では、新聞の内容全体が厳しくチェックされた後、無事に配布許可が下り、市内の公立小、中、高校全514校に各10部ずつが配布された。教室では生活の時間に、またNIEの授業などで、先生方が生徒にこの事件について語られた。
さらに増刷し地方へ
読者からの協力の申し出はますます増え続け、さらに一般紙の掲載により、市民を巻き込む形で、あっという間に10万部の新聞は底をついた。しかし、問題があった。配布ルートの7割が神奈川・首都圏エリア。圏外への情報が足りないと悩んだ結果、さらに10万部の増刷を決定した。
横浜市内の読者には、説明を加えて配布部数を減らし、新たな配布先には、新聞の回覧や掲示をお願いした。20万部といっても、全国レベルから見るとごくわずかに過ぎない。我々には経済的、時間的な限界もある。とにかく、今ある新聞をできるだけ有効に全国各地に配布する方法を考えなければならない。
各省庁へ飛び込み
10月6日。厚生省、文部省、農林水産省、郵政省に飛び込んだ。何とかこの情報を全国に発信する方法はないか、意を決して霞が関へと向かった。アポイントなしのため、なかなか話は通してもらえなかった。部署内で読む許可は何とか取りつけたが、全国配信までは至らなかった。
国の機関を動かすのだから、そう簡単にはいかないだろう。だがその中に、この主旨を理解し、次につなげてくれる人がひとりでもいたとしたら、このウエーブはもっと大きく広がっていくはずだ。心から期待したい。
どんな小さなことでもすぐにご連絡を
連絡先/神奈川県旭警察署TEL045-361-0110(特別捜査本部)
株式会社トランタンネットワーク新聞社
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