八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

2012年1月号

月夜に覚悟したこと

2011年12月10日の夜、天空の舞台を、日本中、いえ世界中の人々が眺めていた。私もその一人。編集部のベランダから見る夜空に、美しく輝く月。その日、横浜は快晴。みなとみらいの夜景も小さく見えた。

21時45分。いよいよ皆既月食のショータイム。次女と三女に「月のうさぎが踊っているよ。おいでよ、一緒に見ようよ!」と叫んだ。

月が欠け始めると、たくさんの星たちが輝きを増した。雄大なムーンショーは、私たち人間が、この宇宙に生きていることを体感させてくれた。

神聖なる月明かりを浴びながら、私の心は騒いでいた。月が赤く染まり、再び満月が現われたそのとき、ケータイが鳴った。「陣痛が始まったみたい」…。

予定日から1週間が過ぎ、3人目の出産を心待ちにしていた長女。まるで、月が娘の体に波動を起こしたかのよう。 私も急いで病院に向かう。病室には痛みをこらえている娘がいた。そばでは家族みんなが見守っている。

お産は宇宙とつながっているというから、満月のリズムに乗ればうまくいくだろう。愚かな私は、孫の元気な顔を見るまで落ち着かない。

しかし娘は、明らかに違っていた。その夜は、いつもの穏やかな娘ではなく、まるで自然界に生きる動物のように雄々しく、そして気高く美しく、体から母なるエネルギーを放っていた。目の前にいるのは、私の娘ではない。奇跡を起こそうとしている偉大なる人間。

何度も押し寄せる陣痛の波。母と子はつながっている。娘はお腹の子と一緒に、その波に上手に乗っていた。いよいよ最後の大波が寄せて来ることを察したそのとき、娘は獣のような声を発しながら、身も心も、すべてをわが子へ捧げていた。

「早く出ておいで。ママが抱いてあげるから…」。

そうつぶやく娘の姿を見たとき、私の役割は終わったと思った。

数分後、その声をキャッチしたのか、三男坊は安心してつるんと生まれ、大きな母の胸に抱かれた。

本当に、たまのような赤ちゃん!

全身に宇宙からのお母さんエネルギーを充満させ、渾身の力で臨んだ舞台。神々しく輝く、まんまるお月様の演出まで用意した、娘のお産プロデュース、見事というしかない。

私の月の宴は、おいしいお酒とペンを一本。

八面六臂の賞味期限が切れましたので、今号でペンを置きたいと思います。長い間、応援をありがとうございました。

バックナンバーの一覧へ戻る

ページのTOPにもどる
老若男女響学「お母さん大学」プロジェクトはこちら
お母さん大学メルマガ藤本でこぼこ通信 登録はこちらから
『百万母力』はこちらから
『百万母力』はこちらから
『百万母力』はこちらから
『百万母力』はこちらから
ブンナプロジェクトはこちらから
池川 明先生のDVD「胎内記憶」&本のご購入はこちらから
 
株式会社トランタンネットワーク新聞社 〒221-0055 神奈川県横浜市神奈川区大野町1-8-406