八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

2011年10月号

ネタバレだけど…

私の講演会は、子育て真っ最中のお母さんからジジ・ババ、幼稚園の先生、子育て支援者、企業関係者…と参加者はいろいろだが、話すテーマはただ一つ「お母さんはスゴイ!」。毎回、男性参加者から文句が出ないかとドキドキするが、「お母さんはスゴイ!」の言葉に自身の母を描き、大きくうなずかれることが多い。

講演会前半は、しつこいくらいに「お母さんはスゴイ!」を語る。すると、「支援される人」だったお母さんたちの顔がだんだん変わってくる。「お母さんはスゴイ!」は正に、魔法の言葉。1時間ほど「お母さんはスゴイ!」のシャワーを浴びた母親たちは、肩に背負っていた重たい荷物を下ろし、同時に化粧も、涙もろとも流れていく。こうなれば、もうお母さんは「支援される人」ではない。お母さんは「アクションする人」だ。

だんだんみんなが、その気になってきた頃に、講演会の定番、ブレスト「お母さんは○○です」をやる。ブレストとは「ブレーンストーミング」。嵐のように脳をフル回転させてアイデアや意見を出そうという企画だ。

私は客席を回り、順番に「お母さんは?」と聞いかける。バトンのように回されるマイクを手に「太陽です」「ひまわりです」「偉大です」…と思い描くまま答えていく参加者たち。延々続く「お母さんは○○です」に、またその答えに、お母さんの多様性と奥深さが見えて、いつしか会場は、お母さんの心で満ちていく…。一人ひとりと目を合わせ、言葉を交わしながら、心を繋げていく作業でもある。

先日の講演会では久しぶりに、お母さんに「夢」を聞いた。「あなたの夢、何ですか?」という質問に、たいがいの人はたじろぎ、戸惑いを見せる。マイクが近づくとますます焦り、頭が真っ白に。会場にどよめきが走り、母親たちの心がゆらゆら揺さぶられる。しめしめ……作戦成功!

そのとき、ひとりの母親にマイクが回った。彼女は恥ずかしそうに小声で言った。「子どもが小さいので今は無理ですが、いつか舞台でオペラのアリアを歌いたいです」。

私はすかさず、「どうぞ!」と、彼女を舞台に誘った。驚きと苦笑いの混じったような表情で、ゆっくりと舞台へと歩いてきた彼女。(これはヤレルナとにんまり)

結果は想像以上だった! 彼女は素晴らしいアリアを披露してくれた。会場からは大きな大きな拍手。私には、ステージのスポットライトを浴びて歌う、彼女の姿が見えた。

子育てとは、お母さんが夢を描くこと。夢に向かって生きる母の姿こそ、子どもに勇気を与えるに違いない。 講演会後の私の楽しみは、そんなみんなの夢に乾杯することだ。

(藤本裕子)

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