八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

2011年5月号

苦悩の向こうにある希望

子ども向けにつくられた童話の世界は、実話と異なり、ほとんどがハッピーエンド。それが子どもに希望や勇気を与えるとして、本も売れる。が、果たしてそうだろうか。本当の希望や勇気とは、苦悩の中でその本質がむき出しになってはじめて、人の心に響くのではないか。

子育てをしながら、子どもの中にある残酷性に、いきものの本質を感じる母親も少なくないだろう。しかし、子どもは必ず善く生きる方へと向かうことだけは確かだ。

それは、貧しい国の、子どもたちの目の輝きを見ればわかる。彼らは全身で「生きたい!」というエネルギーを放っている。翻って、日本の子どもたちの目の輝きが少なくなったのは、ありがたくも哀しいことに、家庭や学校で管理され、見えないレールの先にハッピーエンドの世界があると勘違いの夢を与えられるからか。

このたびの大震災で日本は大きく揺さぶられ、1か月が過ぎた。私の心も大きく揺れた。いまだ解決できない原発事故に、賛成・反対の議論もあるが、今、私たちは、人間としてどう生きるかの選択を迫られている。政党や企業の権力争いが、子どもの未来を奪うのは許せない。

科学の進歩によって、これまでたくさんの恩恵を受けてきた。便利で豊かで快適な生活に、どれほど甘んじてきたことか…。そのうえ自然至上主義をうたい、ロハス生活を夢見てもきたが、ひとたび猛威を振るう自然に、多くの命を奪われ、過酷な試練を与えられた私たち。

農業や漁業を営み、自然と共生してきた人々には、幾つもの災害を経験し、必死に乗り越えてきた過去がある。だが、不自然な科学には、なす術もない。

今、科学が人間を越え、暴徒と化している。利用するだけ利用し、感謝もなくただ捨てるだけの身勝手な人間に牙を剥いた。どんなに素晴らしい科学技術も、そこに、心(魂)が宿らなければ意味がない。使い方を間違えれば、地球を破壊するほどの恐ろしい武器へと変容する。

未曾有の災害に、被災された方々の苦悩を計り知ることはできないが、これは、私たち日本人、いや世界中、すべての人間への警鐘ととらえるべきだろう。

改めて今、私たち母親にできること。それは、わが子を大切に育てること。日々に感謝して生きること。そして、母親たちの知恵を紡ぐこと。そうすれば自ずと、何を選び、どう行動すべきかが見えてくる。

この苦悩が私たちに大切なことを導いてくれる。そして、そこには必ず希望があると信じている。
(藤本裕子)

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