八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

2011年3月号

雪の日の出来事

夕方から雪が降り始めた。窓から見えるみなとみらいは、うっすら雪景色。この調子だと、明日の朝までには積もるだろう。ふと思ったのは孫のこと。

2歳の孫は、生まれてはじめて雪を見る。どんな顔をするのだろう。私の想像力が猛スピードで孫の住む町へ広がった。真っ白な雪の美しさも、かじかむ手も、積もった雪の上を踏む音も、小さな人にとっては、はじめてのことばかり。明日の朝、銀世界を見て驚く孫の顔を思い浮かべながら、眠りについた。

翌朝、娘から、孫が楽しそうに笑っている写メールが届いた。母(娘)がつくった、大きな雪だるまのそばに、うれしそうな孫の顔。雪上の小さな足跡に、孫のはしゃぐ声が、今にも聞こえてきそう。

が、パソコンに向かってほくそ笑む私の視界に、飛び込んできた一本のニュース。

「雪の日の朝、新生児が裸で捨てられていた」…幸せな雪景色が一変した。

なぜこんな雪の日に、なぜ裸で。なぜ、なぜ…。子どもが裸で捨てられた場所は、ここから車でわずか数分のところ。

生まれてすぐ母の胸に抱かれた赤ちゃんは、母の鼓動に安心し静かに眠る。しかし、母に抱かれることもなく、冷たいはさみでへその緒を切られた子は、どうやって眠りにつくのだろう。

雪の日に母の愛に包まれ戯れる小さな命も、雪の日に捨てられた小さな命も、同じように生まれてきた、大切な大切な宝なのに…。

私たち母親にできることは、ただかわいそうだと涙し、祈ることだけだろうか。それでは、無関心の人々と大差はない。母親として何ができるのだろうと一日考えていた。そして、できることを一つ見つけた。

それは、母親であれば、誰でもできること…。

お母さんが、わが子をしっかり抱きしめる。たとえ、わが子を愛せない母であったとしても、何も考えずただじっと、子どもを抱きしめてほしい。何度も何度も抱きしめているうちに、子どもが「愛すること」を教えてくれる。そして、その愛がいっぱいに溢れ出したとしたら…、きっと、雪の日に震えた、あの子にも届くに違いない。
(藤本裕子)

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