八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

2011年1月号

娘たちの中の「私」

娘が3人いるが、皆が集合するのは、この「お母さん業界新聞」を全国に発送する日。成人してからというもの、3人が勢揃いすることなど滅多にないし、そこに孫までが加わるのだから、私にとっては、まさに至福の時間。

しかし、3人並んだ姿を見ていると、どうしてこうも性格が違うのかと思えてならない。3人とも間違いなく私のお腹から出てきたし、お父さんも同じ。20年も同じ屋根の下で一緒にごはんを食べ、3人揃いの服を着て、同じ道を歩いていたというのに…。

今は当然だが、歩く道も速度も異なり、服のセンスも彼氏の好みも違う。そう思うと、「私=母」という存在が娘たちの中にどう生きているのかなぁ、と戸惑う。

3人は新聞を折りながら取り留めのない話をし、話が尽きた頃、決まって私の昔話になる。「夏休みのお昼はソーメンで、夜は鍋ばっかりだったね」「部活の先生とけんかしたこともあったよね」「交番のおまわりさんに説教したの覚えてる?」と、少しも自慢できた話はないが…。

そんな話は、私が死んでからにしてよと思いながらも、遠い昔の懐かしいあの空を、娘たちとふわふわ飛んでいるようで、こそばゆくも、うれしさを隠せない私。

先日、次女、三女と連れ立って、初めて伊勢の旅をした。

ある旅館でのこと。仲居さんのあまりの無神経さに腹が立ち、口を出した。こんなときは、子どもたちのほうが大人で、言っても無駄だとか、怒るだけ損だとか。つい正義感むき出しになる私のなだめ役だ。だがこの日は、私に負けないくらい怒っている2人を見て、娘たちの中に「母の私」が生きていることを実感し、思わずにんまり。

いまどき、サービスが悪い店や宿など山ほどあって、こちらもさして期待はしていないが、その従業員たちの感覚があまりにおかしくて見過ごせなかったというのが正直なところ。最後の最後まで、仲居さんどころか支配人までもが私たちを、理不尽なことを言う客と、信じて疑わないのだから笑えない。

カタチがなく、目に見えないものは、伝わらない。だが、いえ、だからこそ、神様はそんな人たちの未来を案じたのか。その日の伊勢神宮は、これでもか、これでもかというほどのどしゃぶりだった。

いやいやそんなレベルではない。伊勢の神様は、嫌なことすべてを洗い流すほどの、神聖なる雨筋のお清めをもって私たちをもてなしてくれた。そして私も、自ずと人類の幸せを祈っていた。

(藤本裕子)

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