八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

2010年11月号

ママと母

肩書

おまえが生まれて
私は ひとつの肩書を手にした
「母親」という
勤務時間も 休日もない
部下も居ず 昇進もない
喜怒哀楽の波は 絶え間なく襲い もてあそぶ
けれど 私は
この肩書がひどく気に入った
とりこになってしまった
「お母さん」と呼ばれる
心地好さ 幸福感に
この肩書を 手放したくない
私の命の灯が燃え尽きる日まで
だから 息子よ
生きて欲しい 何があっても

前詩の作者は、開業以来45年、お客様に愛され続ける料理屋「久松」(横浜市)のママ・竹蓋ヨシさん。

当時は店の裏手のアパートで寝起きをし、息子を託児所に預けて明け方まで仕事。昼と夜、「母」と「ママ」のスイッチの切り替えが大変だった。

息子のPTA懇談会の欠席裁判で、広報委員になったことをきっかけにペンを持ち、「日頃かまえない息子への

間接的なエールと愛情表現のつもり」で投稿を続けた。書いていくうち次第に「母」に目覚めたという。

儀式

よちよち歩きの息子と手をつなぎ
夕暮れの街を託児所へ向かう
はしゃいでいた息子が
その曲がり角に来るといつも必ず
「抱っこ」と言う
それは明日の朝まで離れて過ごすふたりが
体温を確かめ合ういつもの儀式…

人の倍以上働いて、睡眠時間は半分。だがその頃が一番、充実した人生の時だったと。

わが母も、「久松」のママに負けないくらい働き者だったが、「母」に目覚める前に世を去った。おかげで母の分まで「母」にこだわり、今、「お母さん」という肩書で生きている私。

ところで「久松」の料理はかなりイケます。
(藤本裕子)

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