八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

2010年2月号

幸せになる宿題〜学びの春

お母さん大学のキャンパスは家庭の中。といっても、母親たちに、机の上でのんびり勉強している暇はない。お母さんたちは、成長する子どもに翻弄されながらも、毎日、大きなお母さんになるために学んでいる。まさに家庭は、母になるための OJT (on the job training)。

お母さん大学では毎月、学生である母親たちに宿題が出される。「単位」がもらえるわけではないので提出する人はわずかだが、宿題は自分のためにやるものなので、無理強いはしない。「宿題をしないと、バケツを持って立たせますよ」と言っても、残念ながらあまり効果なし。

しかし今月は、いつもよりはるかに提出数が多かった。テーマは「母になった日」。母になった日は、単純にうれしいとか、よかったいう気持ちだけではない。壮絶な苦しみの末、命がけでお産をした人、愛するわが子を抱きしめることができなかった人など、さまざまだ。

次々に宿題がメールで届く。いつの間にか、みんなの宿題から「母の匂い」が漂ってくる。遠い昔に感じた、あの日の母の匂い…。

みんなの宿題の文章は、宝石のようにキラキラ輝きを放っていた。まるで「詩人」が書いたかのように、どれも心に響くのだ。それは、頭で考えたものではなく、一人ひとりの「心」の中にある真の言葉だからだろう。

宿題をしながら、目を閉じて「母になった日」の記憶を辿ると、不思議と涙がこぼれたり、胸がじーんと熱くなったり。傍らにいるわが子の成長ぶりに、さらにその日が重なり、思いが大きく膨らんだ人も多い。母親たちにとっては、幸せな宿題だったに違いないが、一編一編を読みながら、私も、母の血が騒ぐのを感じていた。

そんな日と重なったこともあってか、撮影で訪れた三殿台遺跡(横浜市)。その地に足を踏み入れた途端、なぜか、私の体内にある母の血が、ますます騒ぐのだった。

4500年前、ここでどんな人がどんな生活を営んでいたのか。そして私たちは、人間の生きる知恵や誇りを、ここからどう受け継いできたのか。たとえば時を超えて、母が子を思う気持ちは、どう変わったというのだろう。

さて新学期シーズン。子どもの幼稚園や学校のことでいっぱいいっぱいのお母さん。本当に学ぶべき人間は、子どもではなく、私たち大人なのかもしれない。

皆さんも幸せな宿題をやってみませんか? バケツを持たされたら嫌だなぁと心を痛めることも、大切なことだと思うのだが。

(藤本裕子)

バックナンバーの一覧へ戻る

ページのTOPにもどる
老若男女響学「お母さん大学」プロジェクトはこちら
お母さん大学メルマガ藤本でこぼこ通信 登録はこちらから
『百万母力』はこちらから
『百万母力』はこちらから
『百万母力』はこちらから
『百万母力』はこちらから
ブンナプロジェクトはこちらから
池川 明先生のDVD「胎内記憶」&本のご購入はこちらから
 
株式会社トランタンネットワーク新聞社 〒221-0055 神奈川県横浜市神奈川区大野町1-8-406