八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

2009年7月号

人としての仕事(次世代育成支援への提言)

今から15年ほど前。子育てサークルがブームになった頃は、まだお母さんが子どもを預けることさえ後ろめたかった。そんな中、「お母さん」が主役のイベントを企画。堂々と打ち出したのは、「託児付き」という言葉。だがマスコミを除き、周囲の反応は冷ややかなものだった。「他人に子どもを預けて、お母さんたちが好きなことをするなんて…」。

子育ては我慢の時期。私たちも昔は皆そうやってきたのだからと、理解者であってほしい先輩の母親たちが、一番の敵でもあった。2時間子どもと離れられない母親の苦しみは、当事者にしかわからないはずなのに…。

今は誰もが少子化を嘆き、国は次々と金太郎飴状態の子育て支援策を打ち出している。子育てが大変な母親を救おうと至れり尽くせり。もちろん、託児付きセミナーは当たり前。施設には子どもたちが安心して遊べる遊具があり、母親同士の集える場も提供されている。

この10年、子育て支援の制度やシステムは充実したが、現実の子育て環境を見ると、「子育ては大変。お母さんは苦しい…」と相変わらずの声。虐待は減るどころか増加の一途。その延長戦上には、親に愛されずに育った子どもたちが、心を痛めながら生きている。

便利で豊かな時代。だが、隣近所に安心してわが子を預けられる場所(人)さえない。だからこそ、子育て環境をもっと充実しなければというのが大方の意見。だが、私はむしろ反対だ。余計な制度やシステムが母親たちを弱者にし、地域の人はますます子育てに無関心になっている。

子どもを預かるのに、保育士の資格が必要だとか、保険に入っていないとか、そんなレベルでしか物事を考えられないなんて…。困ったときに、皆が助け合うのは当たり前。それが「子育ての文化」だ。人を喜こばせること、人に感謝する気持ちこそ、今の社会に必要なことではないか。

子は社会の宝! 昔の人の言葉は本当に素晴らしい。その「宝」を育てることが、美しい日本をつくる。だが現実は、豊かさの指針が経済(モノや金)を中心に成り立っている。心が貧しい日本人ばかり。

少子化の原因…? 国やデータが示す経済的な問題ではないだろう。子どもが生み育まれる土壌がないのである。畑(地域)に出て土を耕し、種を蒔き、愛情を持って丁寧に、子どもたちを育てることが私たちの仕事だ。

(藤本裕子)

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