八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

2008年12月号

冬の風、ゆらゆらと母の祈り

ベランダに白い影。冬の冷たい風の中で、ゆらゆら笑顔で揺れている。それは、まもなく生まれ来る孫の新生児服。手を通す日を思い描き、手洗いで洗濯した。風に揺れる小さな服を眺めながら、ついニヤニヤ。

北風に負けない元気な子…。今、母親(娘)のお腹の中で、何を考えているのだろう。「外は寒いし、うるさいし、なんかややこしそう…。お母さんのお腹の中が一番! ずっとここにいたいなぁ」と、そんな声が聞こえてきそう。

先日、熊本を訪れた際、「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を設置する慈恵病院を取材。田尻由貴子看護部長に話を聞いた。殺害や中絶、「望まれない子ども」というだけで、大人の手で消されていく「命」の数の多さに、心が痛んだ。ずいぶん昔の話だが、亡くなった私の母は、一度だけ子どもを堕ろしたことがあった。当時子どもだった私は、その意味がよくわからず、母の「産めないから」という言葉しか覚えていない。

「出生前診断」(羊水検査、絨毛検査など)とは、狭義で胎児の異常の有無を判定するための検査および診断のこと。今は医学の発達とともに検査の精度が高まり、比較的高い確率で胎児の異常を発見できるという。 だが、このようなことで、母親は、産む産まないの選択をしてもいいのだろうか。

何億万分の1の確率で誕生する命。線々たる命のリレーによってすべての命があると考えたら、望まれると望まれないとにかかわらず、大切な命であることに変わりはない。ならばその命を守ることこそ、人間としての定めではないか。「子は宝」という認識がないどころか、「お金がすべて」という恨めしい世の中…。

生まれない命もあるというならせめて、生まれる命を大切に。それこそ、私たち大人が次世代に伝えていくべきことではないだろうか。 小さな命は十月十日(とつきとおか)、一生懸命に生きる姿を伝えている。目には見えないが、ちゃんと生きている! 叫んでいる! その声が聞こえるのは、お母さんだけ。 今からでも遅くない。気づいた人から伝えていこう、子育ての素晴らしさを…。小さな命は、この冬もちゃんと生きている。

(藤本裕子)

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