八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

2008年8月号

心が騒ぐ出会い

仕事を通じていろいろな人と出会う。これまでも、人生が変わるほどの出会いが幾度かあった。共通点は、「本気」で生きていること。なぜか、そういう人たちに心が騒ぐ。

本気の人は、誰より美しく、誰より孤独である。群がることをしない。ただ信念を持ち、じっと一点を見つめている。 数年前に出会ったある人は、「本当の仲間なんて、一人もいない」と言った。当時の私は、その言葉に納得がいかなかったが、今なら少しわかる。まだまだ本気の域に達していない私は、ともすれば、その意味の深さに溺れてしまいそうになるが。

「こちらの本気を知ったら、皆、怖気づいて逃げていく」。そう言って「ふっふっふっ」と笑うのは、愛知県岡崎市の産婦人科医・吉村正氏だ。2万数千件のお産を経験する中で、お産の真髄を見た氏。お産は「神の領域」であり、そこに男が介入したことが、現代のお産の失敗なのだと…。

「私はお産に命をかけているから、真実がわかるんだよ」。どこまでも自然なお産にこだわり、自然に近づけば近づくほど、氏の顔は幸せに満ちていった。男がそこまで感じているというのに、私は3人の子どもを出産しながら、自分の体でそれを感じられなかったことが、ただただ悔やしい。

あるお産のシーン。命がけでお産をする母親の傍らに、ちょこんと座っている吉村氏は、非力なひとりのお爺さん。「母親というのは神々しいもの。私は、ただ祈るだけ」と、感動の涙を流していた。 その姿があまりにいとおしく、先日お会いしたときに、たまらず抱きついてしまった私。

全国から「お産を学びたい」と、吉村医院を訪れる医者は後を絶たないが、皆しっぽを巻いて逃げていくという。では大切なことを、どう伝えていくのかと、氏に質問した。

「真実は必ず伝わる」、ぽつりと答えた氏の孤独な言葉に、心が騒いだ。

命を生み出す神聖な場が、金儲け主義になってしまっている現在のお産を、少なくとも母親にだけは感じてほしい。 一人でも多くの女性たちに、本当のお産の意味を伝えなければ。なぜなら、心がこんなに騒いでいるのだから。

※次号、吉村正さんのインタビュー記事を特集予定。

(藤本裕子)

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