八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

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LIVE LIFE 2007年10月号

お母さんが感動する場

編集部に届いた一枚の写真。そこには、真剣な顔で慣れないミシンに向かっているお母さんたち。(写真と文は2頁に掲載)いまどきの子育ての日常には、あまり見られない光景。それは、大阪友の会幼児生活団での一場面。幼児生活団については、『リブライフ』40・41号で特集したことがある。1939年、日本初の女性ジャーナリストで教育者である羽仁もと子氏が、「よく教育することは、よく生活すること」を理念として創設した自由学園幼児生活団に端を発し、現在では「友の会幼児生活団」として、全国12か所で展開する、幼児教育の場である。

偶然にも、そこに通うひとりのお母さんをきっかけに、大阪と熊本という2つの生活団を訪れる機会を得たが、不思議な縁を感じている。両方で感じたのは、そこにいるお母さんたちが皆、それぞれに自分が母親であることの喜びを、しっかりと感じていること。当たり前でいて、今の社会では奇跡に近いことである。  女性が結婚し、母親になる。この、ごく自然の流れが時代の変化とともに崩れてしまっている。自給自足の生活から貨幣経済のしくみが生まれ、人間は「もっと、もっと」と、次第に果てしない欲望の渦に飲まれていった。人々は便利で豊かな生活を望んだが、それは教育の現場でも同じ。もっと高い点数を、もっと良い成績をと、誰もが上を目指してがんばった。だがそのために失ったものの大きさを考えると、恐ろしくなる。本当の豊かさの意味がわからないから、子育ての喜びよりも、苦しさのほうが先にきてしまう。それが、現実だ。

母親が、お母さんである喜びを感じずに、いい子育てなどできるはずがない。本来、日々の生活の中で学ぶべき子育ての価値観が、生活の場にも、教育の場にもない。  生活団のお母さんたちは、毎日の生活の中で子どもの素晴らしさを発見している。「子どもを見ていると、ついうっとりしてしまう」のだそう。その感動があればこそ、母である喜びや自信が生まれるのだろう。

もっとすごいのは、生活団のお母さんたちは、みんな次々に子どもを産みたくなるという。だから、子だくさんが多い。いまどき、なんて素敵なことか。  さてミシンといえば、昔からあまり「母親」していない私も、3人娘にスカートを縫ったことがある。近所に子どもの服は全部自分でつくるという人がいて、教えてもらった。つくる途中も楽しかったが、完成したときは最高にうれしかった! 不格好な出来だったが、娘たちが母の手づくりを大仰に喜んだ記憶がある。一枚の布がカタチになるまでに、たくさんの感動を味わった。

生活団のお母さんたちがよく使う「励む」という言葉は、私も大好きな言葉だ。とても大切なことだと思う。大いに励み、大いに感動する。これこそ、私が目指す「お母さん大学」に通じるもの。だからこそ、この出会いに感謝したい。  きっと未来につながるだろう。

(藤本裕子)

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