八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

LIVE LIFE 2007年9月号

奇怪な行動をする私

「お母さん大学」をやろう!と、いつものノリで宣言したものの、カタチにならないことに苛立ちを感じていた。周りはそんな私を心配したり批判したり、いろいろしてくれる。確かに、これまで企画やアイデアでの勝負ならわりと自信があったし、子育て情報だったら、どこの誰にも負けないという自負もあった。その私が、こと「お母さん大学」に関しては、いつになく優柔不断。思いがあるのに動けず、悶々としてしまう。そんな慎重な自分がいたことに、我ながら驚いてもいた。

「お母さん大学」を、企画書や事業計画書にすればするほど、陳腐なものになっていく。お母さんの素晴らしさは、データやマニュアルで伝えらるものではないし、そんなレベルじゃない。母親という存在は、もっと深くて大きいのだと、心で叫んでいる私がいた。

そんなときに出会った一冊の本『ブンナよ、木からおりてこい』(水上勉作・若州一滴文庫刊)。この出会いは「感動」という言葉で表現しても足りないくらい。むしろ「お前は今まで、一体何をして来たのか!?」という内なる声が聞こえてくる。ブンナは私に、「もっと母親(人間)である自分に向き合え」と言ってくれているようだ。

そんなとき久しぶりだったが、ある母親から「ブンナを読んだ」と連絡があった。実は彼女は病気で、自分の身体が、いつどうなるかわからないという爆弾を抱えている。だが、そのことには、一切不安を感じないという。今までの私だったら、信じられない言葉。しかし、今ならわかる。それは、母である彼女の心が、しっかり子どもたちとつながっているからだ。無論子どもたちも、その母を、しっかり感じているに違いない。人間として次世代に大切なことを伝えられた人は、穏やかな最期を迎えられるのかもしれない。なぜなら、本来、それが生き物の業であるから。私も、そんな母になりたい。

以前本で読んだが、あるインディオの村では、女の子が14歳になると1年間、村はずれの小屋で一人暮らしを強いられるという。その間、会えるのは母親だけ。母親は娘に、生きるためのすべての講義をするのだという。

原始的だが、これこそ「お母さん大学」の原点である。現実、多くの母親たちはその意識もなく、教育のほとんどを他者に依存している。子どもの心は育つどころか、どんどん消えてなくなりつつあることさえ、気づかずにいる。

母(人間)である私たちには、次の世代に伝えるべき大切な仕事がある。この、人間を創造する偉大な「母力」を、母親たち自身が感じることができたら、世の中は大きく変わるだろう。経済社会を崩すほどの「母力」。すべての人にとっての幸せな未来づくり、そのカギを握っているのは「お母さん」。

ますますわからない「お母さん大学」に燃えている私。人生のある時期、こんな奇怪な行動をとってしまう自分もあながち悪くないなと、この今を楽しんでいる。すでに学びの場「お母さん大学」は始まっている。

(藤本裕子)

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