八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー
お母さんの愛
最近、ある人から「藤本さんは、お母さんみたい」と言われて、うれしかった。なぜなら、これまで3人の娘たちに、母親らしいことなど何もしていない。ただトランタンで走っているだけで、気づいたらみんな大人になっていたという、ダメな母。娘たちにとって、私はいつも風のように吹いているだけ。
「お母さんの新聞をつくっているくせに、ちっともお母さんしていない」と、スタッフの息子が語ったことがある。
学校でのこと。お母さんがテーマの授業で「あなたのお母さんは何点ですか?」という先生の質問に「うちのお母さんは0点です。でも、社会人としては100点です」と答えた彼。彼によると「お母さんはごはんをつくらない(おばあちゃんがごはんをつくってくれていた)から0点。でも、人のためになる仕事をしているから100点」という評価だった。笑い話ではないが、そのとき私は、苦笑いをしながらも、そのことを誇りに思った。
お母さんって何だろう? 女は母性というものがあり、子どもを産めばその母性が開花するというが、そうとは限らない。そうであれば、虐待などあるわけない。
母性について議論したいわけではないが、母性的感性とは、子どもを産む産まないは関係ないと思う。
最近、出会った人の中に、まさに「グレートマザー」と思える女性たちがいた。彼女たちは母親ではない。しかし、素晴らしい人間だ。
ひとりはシンガーだ。私は彼女の歌声に、体の底から母を感じる。その溢れる思いは、母がわが子を思う気持ちのように、とてつもなく深い。その美しい歌声、響きに、世界中の人たちが感動する。
もうひとりは画家である。彼女の描く生き物たちは、きらきらと輝く太陽に包まれたような、眩しさと気高さに満ち溢れている。
何だろう。この人たちの放つエネルギーは…。もしかしたら、母性とは究極の「愛」なのかもしれない。
世界中が母の愛でいっぱいになれば、憎しみも争いも起こらないはずなのに…。
ずっと、子育て中の母親たちに夢を聞いてきた。いろんな夢を聞いているうちに、ある日、「お母さんたちの本当の夢って何だろう?」と思う時期に来た。ちょうど『リブライフ』を創刊した頃だった。お母さんの夢は、もっと果てしなく広く、海のように深いはずと。そして、それを伝えるのが、私の仕事だと信じている。







