八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

LIVE LIFE 2006年4月号

最高のお母ちゃん

このリブライフを入稿する直前に、小篠綾子さん(92歳)の訃報が入った。つい最近、岸和田に住んでいる方から、「小篠さん、お元気ですよ」と聞いたばかりだった。小篠さんとお会いしたのは、もう3年も前のこと。大阪・岸和田の商店街にある小篠さんのお店におじゃました日のことが思い出される。

世界的なファッションデザイナー、コシノヒロコ、ジュンコ、ミチコの3姉妹の母であり、自らも「コシノアヤコ」ブランドを手がけるデザイナーだった。

たいがいの人から「あんたんとこは、ええな」と言われたというが、その栄光の裏には、小篠綾子が女手ひとつで娘たちを育てた波乱万丈のドラマがあった。「ホンマに何もせえへん母親でした。子どもは放っといたらええんと違う? かまい過ぎるから変になるんや。私は、どこの学校に行ってほしいと言ったこともない。行くとこ行ったらええ。なるよーになるのが、ええ運命や。子どもはええ運命を持って生まれてくる。親がじゃましたら あかん」。

真剣に生きてきた人の言葉は、どこかの有名な評論家の子育て論とは違って、不思議とビンビン心に伝わってくる。そのデンとした、小篠さんの母としての偉大さに感動した。

子どもらを産む、その日までミシンを踏んでいたという小篠さん。生まれた子どもたちが、母と同じ道を歩んだのも当然かもしれない。

88歳の誕生日パーティーでは、娘たちから「母の生き方が、自分たちに生きる力と勇気を与えてくれた」と言われたと、うれしそうに語っていた小篠さん。

小篠さんに、「うちも同じ3人娘ですが、お母さんみたいな大変な仕事はやらない」と娘に言われてると話したら、「ハハハ。口ではそう言っても、見ていますよ。あんたが必死でやっている姿を」と。

子育て中の母親たちへのメッセージもうれしかった。「子どもに負けんように強いお母さんにならんと。間違 うたこと言うたら、子どもは絶対ついて来ませんよ。大人であっても、正直な心が一番や。いつも堂々とね」と。

その言葉は確実に、私の今につながっている。決して後ろを振り返らず、いつも前を向いて生きてきた小篠さんこそ、まさに、お母さんの鏡。「将来、お母さん大学をやるのが夢なんです」と言う私に、「やんなはれ、応援したる」と、その1か月後に開催したトランタンの『天晴れ!元気な女の夏祭り』のイベントのために、わざわざ横浜まで駆けつけてくれた。あの世でも、豪快に笑いながら、大好きなはさみを手にミシンを踏んでいる小篠さんが見える。

心からご冥福をお祈りいたします。

(藤本裕子)

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