八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー

LIVE LIFE 2004年12月号

晴れない心

誰も自分の価値観など持っていない。テレビやマスコミの価値観、それが自分の価値観だと信じている。 長く刷り込まれた常識は、滅多なことでは剥がれない。ただ当たり前に、何の矛盾も感じず、疑問のひとつも持たずに受け止めるだけ。「何かがおかしい」とは思っても、自分で価値観をつくるという発想など、起こりようもない。いったい、自分ってどこにあるのだろう?

人と話すとき、顔では笑っていても、心で「違うだろ」と叫んでいる私。こんな自分でいいのだろうか。だんだん人間不信になってくる。消化不良の毎日。もがく自分をなぐさめたくて、あきらめが肝心と書いてある本を読んだ。それでも、私の心は晴れない。

そんなとき、パズルのように、私の心にピタッとハマった話。ある母親が、11歳になる息子からこんな風に言われたという。

「先生は、1時間目の社会の授業では、機械が進歩してハイテク技術になり、世の中はどんどん良くなっていくという話をし、2時間目の国語の授業では、人の便利な生活によって、自然がこわされていくという話をするんだよ」と。

相反する話に矛盾を感じずにいられなかった彼は、「社会と国語がけんかしているみたいで、いやなんだよ」と言った。

11歳の君の心は美しい。その言葉は君だけのもの。そんな感性を大切にしたい。

いつからだろう。私たちが、すべてのことを常識で判断し、心で考えなくなったのは…。

おかしいことを「おかしい」と言わなくなったのはいつなのか。そしてとうとう、おかしいということすら、気づかなくなってしまった私たち…。

型通りの挨拶やつくり笑顔を交わしても、心がなければ気持ちわるい。世の中みんな白でもなく黒でもなく、グレーなことだらけ。なまぬるさやしょっぱさを感じても、顔をゆがめることもない。

気づいたら、もう何も書けない自分。書くことが、話すことが全部ウソのような気がしてくる…。15年も新聞をつくり続けてきて、今さらこんな自分と出会うなんて…。心はちっとも晴れない。

でも、言いたい。11歳の君は正しいよって。

(藤本裕子)

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