八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー
子どもをリスペクト(大事に)する
「子どもがものすごく好き」、よこやまゆみは言う。
どこにもあるフツーの言葉なのに、なぜかその一言が心に深く響く。そして、彼女の叫び声にも聞こえる。
彼女の声のトーン、しゃべり方、目の輝き、しぐさ、息づかい。そんな部分的なことじゃない。彼女と子どもの距離は、「フレキシブル」「ファジー」なんて、都合のいい言葉では表現できない、ビミョーな関係。すごく近かったり、遠かったり、時にはひとつだったり…。
「子どものらくがき」を一つひとつ指でなぞる。すると、なぜか子どもの気持ちがわかるという彼女。子どものらくがきを見つけたら、「この絵、ちょうだい」「ちょっとだけ貸してね」と、心を込めてお願いする。とにかく子どもの絵が、いとおしくてたまらないという。
「子どものらくがきは、子どものつぶやき」。子どもの絵を見ながら話す彼女は、まるで世界じゅうの子どもたちととつるんでいる母親ボスみたい。同じ母親として、そんな彼女がうらやましい。彼女の中に、本当の母親(女神)の姿が見えた。
いつからだろう。世の中に「人間」がいなくなったのは…。毎日どこかで誰か(人間)を、自然を、子どもたちを、傷つけている化け物ばかり。今の教育も、子育ても、おかしいと気づきながら、何もしない大人たち。
「みんなスクラップにしてしまうぞ」と、母親ボス。 彼女が子どものらくがきを指でなぞるように、子どもを丁寧に育てたら、きっと何かが変わるはず。
もう大人になろうとする3人の娘を前に、「子どもたちのらくがきを見つけたい」と、足掻く私。
今からでも遅くない。すべての母親が女神(人間)になるために、がんばって伝えたい。子育ては、生きることと同じくらい大事なもの。一つひとつ、丁寧に子育てしよう。一つひとつ、丁寧に生きようと。
それこそが、今、私にできる娘たちへのリスペクト。







