八面六臂 藤本裕子の辛口エッセー
子育ては感じるもの
ある読者から「夢は何ですかと聞かれて、苦しくなってしまう母親の気持ちがわかりますか?」と、批判の声があった。彼女自身が、当事者なのかはわからない。
10年以上も母親たちに夢を聞き、いろいろな場面を見てきた。夢を聞かれて不安になる人だけではない。他人が夢を語る姿を見て「自分はあんな風に夢を語れない」と落ち込む人…。反対に、夢を語る人を見て「私もがんばろう!」と思う人…。同じ夢に感動して手を取り合う人…。「夢」というテーマをひとつ投げかけただけで、その空間には、何かが起こる。 相手がどうとるか、どう感じるかは、私にもわからない。確かに、夢を聞かれてうれしい人もいれば、苦しい人もいるだろう。でも何より大切なのは、夢を描くことを忘れた人に、自分も夢を描けるんだということを思い出してもらうこと。
世の中には、母親たちだけでなく、弱過ぎる人間ばかり。今まで本気で生きてきたことがないから、命の大切さも感じない。つい最近まで、私もそのひとりだった…。
夢を聞かれて苦しいなら、子育てなんてできない。生きていけない。母親として、子どもの命を守ることもできない。
母親になることを選んだのなら、まずは、弱い自分に向き合おう。
本当の苦しみは、そんなところにはない。子育てという長いドラマは、まだスタートしたばかり。子育てほど苦しくてつらい、そして楽しいドラマはない。母親に与えられた神様からのギフト。
ひとりの人間としてどう生きるか…。子育ては、それに気づくことができる手段のひとつかも知れない。
夢なんてどうでもいい。夢にぶら下がるのではなく、本当の自分に出会うために、夢を描く。
だから、苦しいと感じることも大事。その苦しさから逃げないで、向かっていこう。それが子育てだと思うから。







